最終更新日: 2026年8月12日
結論から言うと、pCloudはスイスのプライバシー法下で運営される信頼性の高いクラウドストレージで、「買い切り(Lifetime)」という珍しい料金体系が最大の特徴です。ただし、多くの人が期待する「運営会社にも中身が見えないゼロ知識暗号化」は標準ではなく、別売のアドオンである点は購入前に知っておく必要があります。また保管が主目的のサービスなので、一度きりの送信は5GBまでの「pCloud Transfer」が担当し、pCloud上でそれを超えるファイルを渡したい場合は本体アカウントにアップロードして共有する形になります。
この記事の結論(30秒でわかる)
- 安全性: スイス拠点(pCloud International AG)。通信はTLS/SSL、保存時は256ビットAES、データセンターは認証済みで欧州か米国かを利用者が選べる。公式にはGDPRに関する説明ページも用意されている
- ここが誤解されやすい: 「ゼロ知識(クライアントサイド)暗号化」は標準機能ではなく、別売のpCloud Encryption。買い切り150ドルの追加課金が必要
- 料金の特徴: 月額・年額に加えて買い切りがある。500GBが199ドル、2TBが399ドル(いずれも2026年8月12日時点のセール価格)
- 無料枠: 本体は最大10GB(クレジットカード不要)。ファイル送信専用のpCloud Transferは5GBまで登録不要で無料
- 向かない用途: 登録せずに5GBを超えるファイルを一度に送りたい場合(pCloud Transferの上限は5GB)。なお2026年8月12日に確認したpCloud公式ページでは、日本のプライバシーマーク取得に関する記載は確認できなかった
この記事は大容量ファイル転送サービス「ギガワタス(giga-watasu.jp)」の運営ブログです。当社は同じくファイルを扱うサービスを運営しているため、pCloudの優れている点は優れていると書き、当社が負けている点も隠さず書きます。本記事の数値はすべて2026年8月12日にpCloud公式サイトで直接確認したものです。
pCloudは安全か|暗号化とデータの置き場所を確認する
pCloudを運営するのは、スイスに本拠を置くpCloud International AGです。公式サイトは「スイス拠点のクラウドサービスとして、世界で最も厳格なデータ保護基準を遵守しています」と説明しており、GDPR(EU一般データ保護規則)に関する説明ページも用意されています。ただし「準拠を説明するページがある」ことと「サービス全体が第三者に検証された」ことは別なので、社内規程で認証の提示が必要な場合は公式窓口に確認してください。
技術面で公式が明記しているのは次の4点です。
- 通信の保護: TLS/SSLによる通信路の暗号化
- 保存時の暗号化: 256ビットAES
- 保管場所の選択: 欧州と米国のどちらにファイルを置くかを利用者が選べる
- データセンター: 認証を受けたデータセンターで保管すると公式に記載
保管場所を利用者側で選べるのは、海外サービスとしては珍しい設計です。EU域内に置きたいという要件がある場合に対応できます。
「ゼロ知識暗号化」は標準ではなく別売
購入前に必ず確認したい点
pCloudの評判を調べると「ゼロ知識暗号化」という言葉がよく出てきます。しかしこれは標準プランの機能ではありません。公式の暗号化ページによれば、クライアントサイド暗号化とゼロ知識プライバシーを提供するのはpCloud Encryptionという別売のアドオンで、買い切り150ドル(定価229ドル・2026年8月12日時点)の追加課金が必要です。
クライアントサイド暗号化とは、ファイルを自分の端末で暗号化してからアップロードする方式のことです。鍵を持つのは利用者だけなので、サービス運営会社でさえ中身を読めません。pCloudの創業者兼CEOであるTunio Zafer氏は公式サイトで「私たちが何を保存しているのか、私たちにも分からない。それがあるべき姿だ」と述べており、思想としては明確に打ち出されています。ただしそれを実際に使うには追加費用がかかる、というのが2026年8月時点の事実です。
標準プランでも256ビットAESで保存時に暗号化されてはいるので、「暗号化されていない」わけではありません。違いは鍵を誰が持つかです。この構造は他のサービスでも同様で、鍵の所在まで踏み込んだ話はMEGAの安全性を検証した記事でも詳しく整理しています。
pCloudの料金【2026年8月時点】
個人向けpCloudの料金は月払い・年払い・買い切りの3本立てです。これとは別に、3ユーザーから使える法人向けのpCloud Businessがあります。表示通貨は個人向けが米ドル、法人向けがユーロで、公式サイトによれば「日本の正規パートナーを通じた日本円での支払いに対応、法人決済も可能」とされています。
| プラン | 容量 | 月払い | 年払い | 買い切り |
|---|---|---|---|---|
| 無料 | 最大10GB | 0ドル | 0ドル | — |
| Premium | 500GB | 4.99ドル | 49.99ドル | 199ドル |
| Premium Plus | 2TB | 9.99ドル | 99.99ドル | 399ドル |
| Ultra | 10TB | 29.99ドル | 299.99ドル | 1,190ドル |
| Encryption(別売) | — | — | — | 150ドル |
※ 年払いと買い切りは2026年8月12日時点でセール価格です。定価は年払いがPremium 59.88ドル・Premium Plus 119.88ドル・Ultra 359.88ドル、買い切りがPremium 299ドル・Premium Plus 599ドル・Ultra 1,890ドル・Encryption 229ドル。セール価格は時期によって変わるため、申し込み前に公式の料金ページで必ず確認してください。データ確認日: 2026年8月12日。
公式サイトには14日間の返金保証も明記されています。また個人向けのPremium系プランでは、ファイルの以前のバージョンを30日間さかのぼって復元できます(後述の法人向けpCloud Businessでは180日間に延びます)。
見落とされやすいのが共有リンクのトラフィック上限です。保存できる容量と、第三者がダウンロードできる総量は別に決まっています。Premium 500GBは500GB、Premium Plus 2TBは2TB、Ultra 10TBは保存10TBに対して共有トラフィックは2TBです。大人数への配布に使う予定がある場合は、保存容量だけで選ばないほうがよいでしょう。
法人向け pCloud Business
法人向けは3ユーザーからの契約で、料金はユーロ建てです。個人向けでは別売のpCloud Encryptionが最初から含まれ、ファイルのバージョン管理も180日分に延びます。無料トライアルも用意されています。
| プラン | 最低人数 | 1ユーザーあたり容量 | 1ユーザーあたり月額 |
|---|---|---|---|
| Business | 3人 | 1TB | 9.99ユーロ |
| Business Pro | 3人 | 2TB | 14.98ユーロ |
※ 3ユーザーの場合、Businessは月29.97ユーロ、Business Proは月44.94ユーロです。Business Proは確認時点で定価59.94ユーロからの25%割引でした。いずれもpCloud Encryptionと180日間のバージョン管理を含みます。データ確認日: 2026年8月12日。
買い切り(Lifetime)は本当に得か
pCloudが指名検索で「買い切り」と一緒に調べられるのは、この料金体系が他社にほとんどないからです。実際に何年使えば元が取れるのかを、公式の数字だけで計算します。
| プラン | 買い切り | 年払い | 元が取れる年数 |
|---|---|---|---|
| Premium 500GB | 199ドル | 49.99ドル | 約4年 |
| Premium Plus 2TB | 399ドル | 99.99ドル | 約4年 |
| Ultra 10TB | 1,190ドル | 299.99ドル | 約4年 |
どのプランもおおむね4年使えば年払いより安くなる計算です。5年、10年と使い続けるなら買い切りが有利になります。
ただし正直に書くと、買い切りには構造的なリスクがあります。買い切りの価値は、事業者がその期間ずっと存続することが前提だという点です。クラウドサービスの4年、10年は決して短くありません。pCloudは2013年から運営を続けており(公式は「10年以上」と表記)、公式サイトでは130以上の国で利用され、稼働率は99.98%と案内されています。なおユーザー数は公式ページ間で「22M+」と「2,400万人以上」の表記差があるため、本記事では特定の数字を断定しません。実績のある事業者ではありますが、前払いである以上リスクがゼロにはならないことは踏まえて判断してください。




