最終更新日: 2026年8月8日
結論から言うと、クラウドストレージは「何を・どれくらい・誰と使うか」で選ぶサービスが変わります。横並びのスペック表だけ見ても決まりません。
大まかには、写真や動画をためる個人なら Google ドライブ(無料15GBで最大)か iCloud+、機密を自分だけで管理したいなら Proton Drive や pCloud(無料でも暗号化を効かせたいなら MEGA)、長く使うなら買い切りの pCloud、法人で共有・ログ管理が要るなら box や国産の DirectCloudが軸になります。
そしてもう一つ大事なのが、「保存したいのか」「相手に一回渡したいだけなのか」という分かれ道です。後者ならクラウドストレージは過剰で、ファイル転送サービスのほうが手間もコストも少なく済みます。この記事では、ファイル転送サービスの運営者の立場から、主要クラウドストレージ9社を公式情報で比較したうえで、あなたの用途に合う最短の答えを示します。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp)の運営ブログです。当社はファイル転送サービスを運営していますが、クラウドストレージ各社についても公式情報に基づいて公正に解説します。比較表の数値はすべて各社公式ページで確認しています(確認日: 2026年6月4日)。
この記事の結論(30秒でわかる)
- 無料で容量最大: Google ドライブ(15GB)。写真・動画をためる個人や Apple 端末なら iCloud+ も自然
- 無料でも暗号化を効かせたい: MEGA(無料10GBでも標準でE2E暗号化=運営者も中身を見られない)
- 機密を自分だけで管理: Proton Drive・pCloud Crypto(エンドツーエンド暗号化)
- 長く使うなら買い切り: pCloud の生涯プラン(年額の約4年分=4年以上使うなら得)
- 法人で共有・ログ管理: box/国産の DirectCloud(Pマーク・ISMS・国内データセンター)
- 相手に一回渡すだけ: ストレージは不要。ファイル転送サービスのほうが速くて安全
本記事の比較軸(透明性のため明示)
当ブログの比較記事ガイドラインに沿い、クラウドストレージは次の5軸で評価しています。恣意的な順位付けはしません。
- ① 無料容量(無料でどこまで使えるか)
- ② 料金(有料プランのコストパフォーマンス・買い切りの有無)
- ③ セキュリティ(暗号化方式・エンドツーエンド暗号化の有無)
- ④ 国産/海外・サポート(データの保管国、日本語サポート、認証)
- ⑤ 用途適合(個人/法人、写真/動画/機密/共同編集)
まず判断|「保存」か「一回送るだけ」か
サービス選びの前に、自分のニーズがどちらなのかをはっきりさせると失敗しません。ここを間違えると、毎月の保存料を払い続けたり、逆に大事なファイルを消してしまったりします。
あなたに必要なのはどっち?
- ファイルを置いておきたい/後で何度も使う/複数人で編集する → クラウドストレージ(この記事で比較)
- 相手に一回渡せれば消えていい/とにかく大容量/登録の手間を省きたい → ファイル転送サービス(両者の違いはこちら)
「保存」が目的ならこのまま読み進めてください。「一回渡すだけ」なら、後半の「一回渡すだけならストレージは要らない」まで飛ばしても構いません。
【総合比較表】無料クラウドストレージ主要9社
まずは全体像です。無料容量・代表的な有料プラン・暗号化・運営国を一覧にしました。料金は各社公式の表示をそのまま記載しています(税区分は表の下に注記)。
| サービス | 無料容量 | 代表的な有料プラン | 暗号化(E2E) | 運営国 |
|---|---|---|---|---|
| Google ドライブ | 15GB | 100GB ¥290/2TB ¥1,450 | AES-256+TLS(E2Eなし) | 米国 |
| Dropbox | 2GB | Plus 2TB ¥1,200(税抜) | AES-256+SSL(E2Eなし) | 米国 |
| OneDrive | 5GB | 365 Personal 1TB ¥2,130 | AES-256+TLS(E2Eなし) | 米国 |
| iCloud+ | 5GB | 50GB ¥150/200GB ¥450/2TB ¥1,500 | AES-256(高度なデータ保護でE2E可) | 米国 |
| box(個人) | 10GB | Personal Pro 100GB ¥1,390 | AES-256(E2Eなし) | 米国 |
| MEGA | 10GB | Pro Lite 750GB €5〜 | ゼロ知識E2E(標準) | ハンガリー(クラウドの契約主体) |
| pCloud | 最大10GB | 500GB 買い切り $199〜 | AES-256(Cryptoは有料でE2E) | スイス |
| Proton Drive | 5GB | Plus 200GB $3.99/月 | E2E(標準) | スイス |
| DirectCloud(法人) | なし | Standard 500GB ¥44,000/月 | AES-256+国内3DC | 日本(国産) |
料金の税区分は各社で異なります。Google・OneDrive・iCloud+ は税込表示、Dropbox は税抜表示、MEGA・pCloud・Proton は外貨建て課金(円換算は為替で変動)です。Google One は公開されているプラン紹介ページ上の掲載プラン名が「Basic/Google AI Plus/Google AI Pro」に変わっています。全社一括の確認日: 2026年6月4日。以降の個別更新: MEGAの無料容量は2026年8月21日に公式料金ページで10GBへ変更されているのを確認し、該当箇所を修正しました(以前は20GBでした)。Googleドライブの有料料金は2026年8月29日に公式プラン紹介ページで再確認し、100GB ¥299→¥290・2TB ¥1,399→¥1,450 に修正しました。
出典(各社公式): Google One/Dropbox/Microsoft 365/iCloud+/box/MEGA/pCloud/Proton Drive/DirectCloud
各社をひとことで(どんな人向きか)
- Google ドライブ: 無料15GBは業界最大級。ただし Gmail・Google フォトと容量を共有するため、写真が多い人はすぐ目減りします。Docs・スプレッドシートの同時編集が強み。
- Dropbox: 同期の速さと連携アプリの豊富さは随一。ただし無料2GBは最小級で、実用には有料が前提になりがち。
- OneDrive: Microsoft 365 を契約していれば 1TB が付いてくるのが最大の価値。Office を使う人なら実質「ついで」で手に入る。
- iCloud+: iPhone・Mac ユーザーなら最も自然。50GB 月¥150 と安く、端末バックアップ用途に向く。「高度なデータ保護」を有効にすればE2E化できる。
- box: 個人無料は10GBだが1ファイル250MB上限が厳しい。本領は法人のガバナンス・権限管理。
- MEGA: 無料10GBでも標準でゼロ知識のエンドツーエンド暗号化が効くのが他にない強み=運営者ですら中身を見られません。無料でE2E暗号化できる数少ない選択肢です。一方で無料は転送量(帯域)制限があり、国内サポートは弱め。
- pCloud: 買い切り(生涯プラン)が看板。長く使うほど得。スイス拠点でプライバシー法が厳しいのも安心材料。E2Eは有料オプション(Crypto)。
- Proton Drive: プライバシー特化。標準でE2E暗号化、スイス拠点。容量単価は高めだが「中身を絶対に見られたくない」人には最有力。
- DirectCloud: 完全国産の法人向け。Pマーク・ISMS取得、国内3か所のデータセンターに分散保存、操作ログ・承認ワークフロー対応。個人利用は不可で最小プランでも月4.4万円〜。
なお上の9社には入れていないが、楽天モバイル契約者であれば楽天ドライブ(無料10GB、楽天モバイル契約者は50GB)も選択肢になる。共有リンクの有効期限が48時間と短い点だけ注意したい。
無料プランの“罠”を横断比較
無料プランは「容量の数字」だけで選ぶと後悔します。未ログインによる自動削除や転送量(帯域)制限、他サービスとの容量共有といった落とし穴があるからです。上位の比較記事ではここを横断的に並べたものが少ないので、まとめておきます。
| サービス | 無料容量 | 放置リスク | 転送・容量の制約 | 実用度の目安 |
|---|---|---|---|---|
| Google ドライブ | 15GB | 2年間未使用でコンテンツ削除の可能性 | Gmail・フォトと容量を共有 | ◎(写真が多いと目減り) |
| Dropbox | 2GB | 長期未ログインで段階的に削除対象 | 容量が小さい | △(実用には有料前提) |
| OneDrive | 5GB | 規約上、長期未使用で凍結あり | — | ○ |
| iCloud+ | 5GB | — | 端末バックアップで即枯渇しがち | ○ |
| MEGA | 10GB | 一定期間未使用でデータ削除ポリシーあり | 無料は転送量(帯域)制限あり | ○(無料でE2E・帯域に注意) |
| pCloud | 最大10GB | — | 初期は数GB、招待等で増加 | ○ |
各社の削除・凍結ポリシーは公式ヘルプに基づく一般的な記載です。具体的な期間・条件は変更される場合があるため、長期保存に使う場合は最新の利用規約を確認してください。最終確認日: 2026年6月4日。
無料ストレージを「相手への送付」に使うのは危険
無料ストレージの共有リンクで大事なファイルを相手に送るのは避けたほうが無難です。アカウントが放置されて削除されると、相手がまだダウンロードしていなくてもリンクごと消えることがあります。「一回渡すだけ」なら、最初から期限管理が独立しているファイル転送サービスのほうが事故が起きにくいです。
海外サーバ vs 国産|機密データはどこに置く?
仕事のファイルや個人情報を預けるとき、多くの人が気にするのが「海外のサーバに置いて大丈夫か」です。ここは誤解も多いので、運営者目線で整理します。
「海外=危険」とは限らない
主要サービスの多くは米国(Google・Dropbox・OneDrive・iCloud・box)に拠点があります。米国には Cloud Act など、当局がデータ開示を求めうる法制度が存在するため、「機密を米国サーバに置くのは避けたい」という判断には一定の合理性があります。
ただし、エンドツーエンド暗号化(E2E)を採用しているサービスなら、運営者すら中身を復号できません。MEGA(クラウドの契約主体はハンガリー法人)や Proton Drive・pCloud Crypto(スイス)は、たとえサーバが海外でも、鍵を持つ利用者本人以外は中身を見られない設計です。スイスはプライバシー保護法が厳格なことでも知られます。つまり「海外でもE2Eなら機密に強い」という逆説が成り立ちます。
国産が向くケース
一方で、法人で監査・コンプライアンス対応が必要なら国産が有利です。DirectCloud のような国産サービスは、プライバシーマーク・ISMS(ISO/IEC 27001)を取得し、国内のデータセンターに保管、操作ログや承認ワークフローも備えます。「データが国内にあること」を社内規定や取引先要件で求められる業種(医療・士業・官公庁取引など)では、国産が現実的な選択になります。
運営者として見えてくるパターン
当社のような国内事業者には、「海外クラウドの共有リンクが取引先のセキュリティポリシーで弾かれて困った」という相談が一定数あります。社内保存は使い慣れたクラウドでよくても、社外への受け渡しは国内事業者のサービスに切り替える、という使い分けが実務では増えています。
買い切りのクラウドストレージ比較|元が取れるのは何年目か
結論から言うと、元が取れるまでの年数はサービスによって4年〜7年と大きく違います。pCloudなら約4年、Icedriveなら約7年です。クラウドストレージは月額・年額のサブスクが主流ですが、一度払えば月額費用なしで使い続けられる「買い切り(ライフタイムプラン)」を用意している事業者もあります。ここでは日本から個人でも買える3社の価格を公式ページで確認し、同じ容量の年額プランと比べて何年で元が取れるのかを計算しました。
| サービス | 運営国 | 買い切り価格(一括) | 同容量の年額プラン | 元が取れる年数 |
|---|---|---|---|---|
| pCloud | スイス | 500GB $199 2TB $399 10TB $1,190 |
500GB $49.99 2TB $99.99 10TB $299.99 |
3プランとも約4年 |
| Icedrive | ジブラルタル | 500GB $399 2TB $699 |
2TB $99 (500GBの年額プランはなし) |
2TBで約7年 |
| Internxt | スペイン | 1TB €285 3TB €435 5TB €585 |
1TB €9.99/月(≒€120/年) | 額面では約2〜3年(注意点は後述) |
価格はすべて各社公式ページの2026年8月8日時点の表示(割引適用後の実売価格・税区分は各社表記のまま)です。出典: pCloud 料金ページ/Icedrive Lifetime Plans/Internxt Lifetime。
【容量別】結局どれを選べばいいか
価格だけで見た場合の答え
- 500GB前後: pCloud($199)。同容量のIcedrive($399)のちょうど半額です
- 1TB前後: Internxt(€285)。ただし表示価格の割引率が極端に大きい点は後述の注意点を確認してください
- 2TB: pCloud($399・約4年で回収)。Icedriveは$699で約7年かかります
- 3TB以上: pCloud 10TB $1,190 か Internxt 5TB €585。必要量が読めているならpCloudの10TBが単価としては最安です
- 暗号化を最優先: IcedriveかInternxt。両社はゼロ知識暗号化(運営者も中身を復号できない方式)が買い切りプランに標準で付きます。pCloudで同等のことをするにはCryptoの追加契約が必要です
pCloudの買い切りは、計算上ちょうど「年額の約4年分」
pCloudの買い切り価格を同容量の年額プランで割ってみると、500GBが199÷49.99=約3.98年、2TBが399÷99.99=約3.99年、10TBが1,190÷299.99=約3.97年。容量にかかわらず、現在の表示価格では計算上ほぼ「年額4年分」に揃っています。
つまりpCloudに限れば、価格面の判断はとても単純です。4年より長く使うつもりなら買い切り、それ以下なら年額。まずこの一線で当たりをつけて、あとは後述の事業継続性と機能差を確認する、という順番が現実的です。
一方Icedriveは、2TBの買い切りが$699で年額プランが$99なので、元が取れるのは約7年後(699÷99=約7.1年)。同じ「買い切り」でも割安感はサービスによってまったく違います。買い切りという言葉だけで飛びつかず、必ず同容量の年額と割り算して確かめてください。
→ 料金体系・無料枠・安全性はpCloudは安全?料金・買い切り・無料枠を検証で詳しく検証している。
買い切りで見落としやすい3つの注意点
① 表示されているのは、ほぼ常に割引後の価格
今回確認した3社は、いずれも定価ではなく割引価格で表示されていました(pCloud $299→$199、Icedrive $599→$399、Internxtは「85%オフ」表記)。特にInternxtは定価€1,900の1TBが€285という表示で、定価と実売の乖離が極端に大きく、割引率をそのまま「お得さ」として受け取ることはできません。定価ではなく実支払額どうしで比べるのが唯一の見分け方です。
② 「生涯」はあなたの寿命ではなく、サービスの寿命
買い切りは、サービスが提供され続けることを前提にした買い物です。そして買い切りプラン自体、事業者の都合で入れ替わります。たとえばドイツのFilenは、2026年8月8日時点の公式料金ページに月額プランしか掲載しておらず、買い切りは選べません。数万円を前払いする以上、事業者の継続性はサブスク以上に重く見るべき要素です。契約上「ライフタイム」が何を指すかは各社の規約で定義が異なるため、購入前に必ず確認してください。
③ 用途によっては買い切りのほうが不利
Icedriveは公式のライフタイムプラン紹介ページで、大量の自動化処理・NAS的な同期・大規模なアーカイブ用途には、買い切りではなくサブスクプランのほうが性能と柔軟性の面で向くと案内しています。買い切りは容量を後から柔軟に足しにくく、使い方が変わったときに乗り換えコストがそのまま損失になります。
なお3社とも価格は米ドル・ユーロ建てで、数万円規模の一括払いになるため為替の影響を受けます(pCloudは公式に日本円での支払いにも対応していますが、適用レートは決済時のものになります)。返金保証は購入から pCloud が14日、Icedrive と Internxt が30日。合わないと感じたときに引き返せる期間は短いので、無料枠で使い勝手を確かめてから買うのが安全です。
買い切りが向く人・向かない人
買い切りが向く人
- 選んだサービスの損益分岐年数(pCloudなら4年、Icedriveなら7年)より長く使う見込みがある
- 写真・動画のアーカイブなど、保存量がおおよそ読めている
- サブスクの更新管理が面倒で、払い切ってしまいたい
- 暗号化を標準で効かせたい(Icedrive・Internxtはゼロ知識暗号化が買い切りプランに標準付属)
買い切りが向かない人
- 使う期間や用途が読めない(3年未満で終わるなら、どのサービスでも年額のほうが安く済みます)
- NAS同期や自動バックアップなど、高頻度・大量に読み書きする
- 保存量が今後どこまで増えるか分からない
- そもそも「保存」ではなく「相手に一回渡したいだけ」
最後の項目が、実は意外と多いパターンです。買い切りを検討している人の中には、よく聞くと「大きいファイルを相手に渡す手段」を探しているだけ、というケースが少なくありません。その場合は保存容量を買うこと自体が過剰で、後述のファイル転送サービスを使えば費用ゼロで済みます。両者の違いはクラウドストレージとファイル転送の違いで整理しています。




