最終更新日: 2026年9月5日
SPACE PORTER(スペースポーター)は、三菱電機ソフトウエア株式会社が提供する法人向けのセキュア大容量ファイル転送サービスです。料金は「エディション」と「保管サイズ」だけで決まり、利用ユーザー数・月間の送付数・1通あたりの容量による従量課金がありません。最も安い構成でStandardエディション20GBの月額40,000円(税抜)からで、契約の最小単位は1年です。
先に押さえておくべき点を3つ書きます。
1つめは、「容量無制限」に3つの上限があることです。1回あたりの送付サイズに制限はありませんが、実際には契約した保管サイズが上限になり、さらに1ヶ月の通信総量が1TBを超える場合は応相談となります。
2つめは、動作環境の説明が公式サイト内で食い違っていることです。機能ページはWindows 10/11とEdge・Firefox・Chromeを「弊社で動作検証を行った環境」として挙げていますが、よくある質問では「一般的なOS、デバイス、Webブラウザでご利用いただけます」と書かれています。MacやスマートフォンでのSPACE PORTERの動作は、この2つの記述からは確定できません。
3つめは、販売店経由でしか買えないことです。公式サイトから直接申し込む形ではなく、取引のある販売店に見積・発注を依頼する流れになります。個人が単発で使うサービスではありません。
この記事は、大容量ファイル転送サービス「ギガワタス」の運営者が、SPACE PORTERの公式サイト(トップ・価格エディション・機能/保守サービス・よくある質問・お知らせ)を2026年9月5日に確認し、あわせてISMS-ACおよびJIPDECの公開登録簿を照合して書いています。競合にあたるサービスですが、想定する利用者が違うので優劣ではなく「どちらが向くか」で整理します。
SPACE PORTER(スペースポーター)とは|転送に特化した法人向けサービス
SPACE PORTERは、メールでは送れない大容量ファイルや機密情報を送受信するための、法人向けクラウドサービスです。提供元の三菱電機ソフトウエア株式会社は2022年4月1日に発足した会社で、公式のお知らせを見ると2026年4月17日にVer.1.4.2へのバージョンアップが案内されており、2026年8月28日にも展示会出展の告知が出ています。稼働中のサービスです。

特徴的なのは、オンラインストレージとの線引きをはっきりさせている点です。公式のよくある質問では「オンラインストレージサービスのようなファイル共有ではなく『ファイルの転送』に特化」しており、「取り扱うファイルを双方向(共有)ではなく一方向(送付、受け取り)に限定する」と説明されています。フォルダを共有して一緒に編集する用途には向かず、渡す・受け取るに絞った設計です。
受け取る側の負担は軽く、公式FAQは「相手先様がアカウント登録をする必要はありません」と明記しています。契約者から送られたURLから直接ダウンロードできます。
SPACE PORTERの料金|Standard 40,000円〜、Business 50,000円〜(税抜)
料金は「エディション(Standard/Business)」×「保管サイズ」の組み合わせだけで決まります。保管サイズとは、このサービスで保管できるファイル総量の上限のことです。
| 保管サイズ | Standardエディション | Businessエディション |
|---|---|---|
| 20GB | 40,000円/月 | 50,000円/月 |
| 100GB | 70,000円/月 | 100,000円/月 |
| 200GB | 110,000円/月 | 140,000円/月 |
出典: SPACE PORTER公式「価格・エディション」ページ(2026年9月5日確認)。
この料金には利用ユーザー数・月間のファイル送付数・1通あたりの容量による従量課金が含まれません。利用者数の上限もありません(契約法人の範囲内)。人数が多いほど1人あたりの負担が下がる料金設計です。
2つのエディションの違いはグループ管理機能の有無です。Businessでは、送付者と受取先を1つのグループとして管理し、グループ単位で送付者・受取先のIPアドレスとメールアドレスを制限したり、承認者と承認方式(指定承認・全員承認)を設定したりできます。誤送信対策を重視するならBusinessという整理です。
| オプション | 内容 | 料金 |
|---|---|---|
| SSO認証 | SAML2対応の認証サーバと連携したシングルサインオン | 20,000円 |
| APIファイル送付 | WebAPIによるファイル送付 | 20,000円 |
| 保管サイズ追加 | 100GB追加(200GB契約時のみ) | 20,000円 |
| 上長承認 | 送付・受取申請を上長が承認(Standardのみ) | 10,000円 |
SSO認証とAPIファイル送付は、Businessエディションの100GB・200GBには標準機能として搭載されています。なお上長承認はStandardエディションのみのオプションです。Businessエディションには、グループ単位で承認者と承認方式を設定するグループ管理機能が用意されています。
契約面では、最小契約期間が1年(上限5年まで複数年契約可)、初回導入時のみサービス利用料に加えて初期導入費(1ヶ月分)がかかります。公式には「1ヶ月分」とあるだけで金額の内訳までは書かれていないため、初年度の総額は販売店に確認してください。オプションメニューには初期導入費がかからないことは明記されています。
容量は無制限?|実際には3つの上限がある
公式FAQは「数GBを超える大容量のファイルをサイズ無制限に送受信可能」と書いていますが、そのすぐ後に但し書きが付いています。整理すると上限は3つです。
- 送受信可能な最大サイズ=契約している保管サイズ。20GB契約なら、保管中のファイル総量が20GBを超える送受信はできません。
- 1ヶ月の通信総量は1TBが上限。価格ページに「1ヶ月の通信総量が1TBを超える場合は、応相談となります」と明記されています。
- 保管サイズを超過するとエラーになり、送受信自体ができなくなる。公式FAQは「追加料金も発生しません」と説明しており、超過課金ではなく停止する方式です。
保管サイズは、やり取りが終わったファイルを削除すれば空きます。公式FAQには「3日固定などの自動削除設定を活用し、容量を抑えてコスト削減を図っている事例がございます」という記載があり、保管期限を短く固定する運用が想定されています。保管サイズの上限に近づくと管理者にメールで通知する機能もあります。
公式トップページは「100GB以上のファイルや機密情報を安心・安全に送受信できる」と紹介し、「ユーザー数無制限で使い放題」と書いています(2026年9月5日に当ブログで取得したトップページより)。ただし100GBのファイルを送るには、それを保持できる保管サイズの契約が前提になります。最小構成の20GBでは足りません。
「1回あたり無制限」と「使い放題」は違う
SPACE PORTERで無制限なのは1回の送付サイズ・ユーザー数・月間送付数です。保管できる総量と月間の通信総量には上限があります。1回に何十GBも送る使い方をするなら、保管サイズと1TBの通信総量の両方を先に見積もってください。
SPACE PORTERのセキュリティ|認証を公開登録簿で照合した
SPACE PORTERは法人の機密情報を扱う前提で作られており、無料のファイル転送サービスとは機能の層が違います。公式が挙げている主なものは次のとおりです。
- ファイル暗号化 — アップロードされたファイルをシステムが暗号化・復号化する機能。通信経路と保管ファイルが自動で暗号化されます
- 受け取りファイルのウイルスチェック(2GB以内) — 検知した場合はセキュリティ履歴としてログを記録し、該当ファイルを自動削除してユーザーに通知します
- 接続元の制限 — IPアドレスやドメインで社外からの利用を制限できます
- サインアップ承認 — 管理者が承認するまで利用者はログインできません
- 拡張子による送受信制限 — ZIPやEXEなど、承認者が中身を確認しづらい拡張子を弾けます
- 利用ログ — ログインやファイル送付/受け取りの履歴を管理者が確認できます。保存期間は1年間で、機能ページには「1年間を超えた履歴等の蓄積データは消去します」と記載があります
- SLA — 年間稼働率99.9%(停止時間概算9時間/年、計画停止を除く)を目標
出典: SPACE PORTER公式「機能・保守サービス」ページ/公式「よくある質問」(いずれも2026年9月5日確認)。
公式は「通信とファイルの暗号化をすべてメモリ上で実施し元のファイルを記録しない転送方式(特許取得)」とも説明しています。特許番号までは公式サイトに記載がないため、ここは同社の自己申告として受け取ってください。
PCI DSSについては、公式FAQが要件4「オープンな公共ネットワークでの送信時に、強力な暗号化技術でカード会員データを保護する」に対応と書いています。PCI DSS全体への準拠を宣言しているわけではないので、カード会員データを扱う場合は自社の要件と照らして確認してください。
認証については、公式サイトの記載を見るだけでなく、当ブログで公開登録簿を照合しました。
| 認証 | 照合結果 | 登録番号・有効期間 |
|---|---|---|
| プライバシーマーク | あり | 登録番号 11820449(11)/2026年4月6日〜2028年4月5日 |
| ISO/IEC 27001(ISMS) | あり(登録範囲は電子システム事業統括部) | JQA-IM1958/初回登録 2022年12月2日 |
| ISO/IEC 27017(クラウド) | 同社名では該当なし | — |
ここで1つ断っておきます。公開登録簿に載っていないことは、その認証を取得していない証明にはなりません。国内のISMS-AC登録簿は国内の認定機関を経由した認証を収録するもので、海外の認定機関を経由した認証は載らないことがあります。上の表の「該当なし」は「この登録簿では確認できなかった」という意味に留めて読んでください。
そのうえで注意点を2つ補足します。ISO/IEC 27001の登録組織は「三菱電機ソフトウエア株式会社(電子システム事業統括部)」であり、登録簿の記載からSPACE PORTERがその範囲に含まれるかどうかは判断できません。範囲を厳密に確認したい場合は販売店経由で問い合わせてください。また、ISO/IEC 27017を検索すると三菱電機デジタルイノベーション株式会社が3件ヒットしますが、これは別法人です。SPACE PORTERの提供元とは異なります。
なお、社名の表記ゆれには注意が必要です。登録簿は「三菱電機ソフトウエア」で登録されており、「ソフトウェア」と小書きの「ェ」で検索すると0件になります。「検索して出てこなかったから未取得」という判断は誤りやすい部分です。
SPACE PORTERでダウンロードできない・ログインできないとき
受け取り側でつまずくポイントは、公式FAQからおおむね特定できます。上から順に確認してください。
- パスワードを続けて間違えていないか — 公式FAQは「複数回誤ったパスワードを入力した場合、一定時間(約5分)ロックされます」と明記しています。ロック中は正しいパスワードでも通りません。数分待ってから入力し直してください。
- パスワードを忘れていないか — パスワードはハッシュ化(非可逆)して記録されており、公式は「忘れた場合においても復旧ができなくなっております」としています。送信者に再送してもらうしかありません。
- 保管期限や回数制限で自動削除されていないか — 送付・受け取りともに、期限切れのファイルを自動削除する機能があります。期限は送信側が固定することも、利用者が選ぶこともできます。「3日固定」のような短い運用をしている企業もあります。
- ログインを求められていないか — 受け取る側にアカウント登録は不要です。ログイン画面が出るなら、送られたダウンロードURLではなく契約者用の管理画面を開いている可能性があります。メールに記載されたURLを開き直してください。
- 動作検証環境から外れていないか — ここは公式内で説明が分かれています。機能・保守サービスのページは動作環境を「OS: Windows 10/11」「ブラウザ: Edge, Firefox, Chrome」とし、「ご利用環境は弊社で動作検証を行った環境です」と書いています。一方でよくある質問は「一般的なOS、デバイス、Webブラウザでご利用いただけます」と答えています。当ブログではどちらの記載もそのままお伝えします。Macやスマートフォンでうまくいかないときは、Windows+Chromeなど検証済みの組み合わせで試すのが確実です。
アップロード側で途中失敗した場合は、公式FAQによれば「再開ボタンを押すことで途中から再開することができます」。最初からやり直す必要はありません。
SPACE PORTERの使い方|送る側と受け取る側
ブラウザだけで完結します。プラグインやソフトウェアのインストールは不要です。
送る側は、ログイン後に送付申請を行い、ファイルをアップロードします。承認モードを使っている場合はここで承認者のチェックが入ります。申請時に送付先のメールアドレスを設定しておくと、SPACE PORTERから相手にダウンロードURLを記載したメールが届きます。メールの題名・本文・ユーザーごとの署名も設定でき、サービスからメールを送る機能自体を無効にすることもできます。
受け取る側は、届いたメールのURLを開き、パスワードを入力してダウンロードするだけです。アカウント登録は不要で、複数ファイルの一括ダウンロードにも対応しています。相手がダウンロードすると送信者にダウンロード通知が届き、通知には入力された名前と接続元IPアドレスも含まれます。
導入前には、全基本機能を備えた評価環境の無料トライアルが用意されています。契約後は10営業日ほどでサービス開始の連絡とカスタマーIDが届き、利用料金はサービス開始日の翌月から発生します。




