最終更新日: 2026年4月13日
結論から言うと、セキュアなファイル転送に月額数万円は必要ない。無料プランでもAES-256暗号化・パスワード保護・ダウンロード回数制限が使えるサービスがある。
ただし「セキュア」の中身はサービスによって大きく違う。暗号化方式、第三者認証(プライバシーマークやISMS)、監査ログの有無で、実際の安全性は変わる。
この記事では、セキュリティ機能を重視してファイル転送サービスを選びたい法人・個人事業主に向けて、5つのサービスを同一基準の100点満点でスコアリングして比較する。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp)の運営ブログです。自社サービスも比較対象に含まれています。評価基準とスコアリング方法は記事内で公開しており、ギガワタスのデメリットも記載しています。
【評価基準】セキュアファイル転送の比較ポイント5つ
当ブログではすべての比較記事で同一基準を使っている。今回の5項目はこちら。
① 暗号化・セキュリティ(/20点)
暗号化方式(AES-256、SSL/TLS等)、ウイルススキャン、パスワード保護の有無。通信経路だけでなく、保存されたファイル自体の暗号化があるかを重視した。
② 認証・監査機能(/20点)
プライバシーマーク、ISMS認証などの第三者認証。IPアドレス制限、2要素認証、送信ログ、送信承認機能など。
③ 容量・保存期間(/20点)
1回の送信で扱える最大容量と保存期間。動画・CADデータなど大容量ファイルを送る法人ニーズに対応できるか。
④ 受取側の使いやすさ(/20点)
受取側にアカウント登録が必要か。広告の量。取引先に手間やストレスをかけないか。
⑤ コストパフォーマンス(/20点)
セキュリティ機能あたりの価格。無料プランの実用性、有料プランの月額。
【総合比較表】セキュアファイル転送サービス5選
| サービス名 | 暗号化 | 第三者認証 | 最大容量 | 月額(税込) |
|---|---|---|---|---|
| ギガワタス | AES-256 + SSL | Pマーク | 300GB | 無料〜550円 |
| データ便 | SSL + 保存時暗号化 | Pマーク・ISO27001(DC) | 無制限(有料) | 無料〜550円 |
| クリプト便 | TLS暗号化 | ISO27001等6認証 | 5〜20MB/通 | 約1,100円/人〜 |
| firestorage有料 | SSL + 独自暗号化 | DC側Pマーク | 25〜100GiB | 1,320〜2,420円 |
| Kozutumi | 自動暗号化 | ISMS認証 | 2GB/通 | 無料〜990円 |
※ 各サービス公式サイトの情報をもとに作成。最終確認日: 2026年4月13日。クリプト便の月額は税抜1,000円/ユーザーを税込換算。firestorage有料は個人有料プラン(ライト会員/正会員)の価格。法人専用プランは月54,780円〜で別途。
1位 ギガワタス(83/100点)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 17/20 | AES-256(ファイル保存時)+ SSL(通信時)。ウイルススキャンはプレミアムのみで-3 |
| 認証・監査 | 10/20 | Pマーク取得。IP制限・DL履歴はプレミアムのみ。2FAなし・送信承認なし |
| 容量 | 19/20 | 全プラン300GB。保存3〜30日(無料)、3〜90日(プレミアム) |
| 受取側 | 18/20 | 登録不要。無料でも広告が圧倒的に少ない(アップロード・ダウンロード共に) |
| コスパ | 19/20 | 無料で300GB + AES-256。プレミアム月550円は業界最安水準 |
ギガワタスは、プライバシーマーク取得企業(株式会社グッドヒルシステムズ)が運営するファイル転送サービスだ。
最大の特長は、無料プランの時点でセキュリティが充実していること。具体的には以下が全プランで使える。
- AES-256暗号化 — 銀行のオンラインバンキングと同じ方式。全ファイルに自動適用
- パスワード保護 — ダウンロード時にパスワードを要求
- ダウンロード回数制限 — 指定回数ダウンロードされたら自動削除
- ワンタイムダウンロード — 1回ダウンロードしたら即削除
- 300GBまで送信可能 — 大容量動画も圧縮不要
サービス運営者の立場から言うと、ギガファイル便やfirestorage、データ便と比べて無料プランでもアップロード時・ダウンロード時ともに広告が圧倒的に少ない。取引先にURLを送るとき、広告だらけの画面を見せたくないという法人ユーザーに選ばれている。

月550円のプレミアムプランでは、ウイルススキャン・IPアドレス制限・広告完全非表示・保存期間90日が加わる。IPアドレス制限は、アップロード後に管理画面から設定する。許可するIPアドレスやCIDRブロックを指定すると、それ以外からはダウンロードできなくなる。

デメリット:
- 知名度がギガファイル便やデータ便より低い。取引先に説明が必要なケースがある
- 2要素認証がない。送信前の承認フローもない
- ISMS認証は未取得(Pマークのみ)。ISO27001が必要な取引には要確認
- 監査ログ(DL日時・IP・地域)はプレミアムプランのみ
こんな法人におすすめ: コストを抑えつつ暗号化と大容量を両立したい中小企業。広告の少ない画面で取引先にファイルを送りたいクリエイター・デザイン事務所。
2位 データ便 ビジネスプラン(72/100点)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 12/20 | SSL通信 + 保存時暗号化(方式非公開)。ウイルススキャンなし |
| 認証・監査 | 17/20 | Pマーク + DC ISO27001。セキュリティ便。2FA(ビジネス)。送信履歴6ヶ月 |
| 容量 | 14/20 | 無料2〜5GB。ビジネスプランは容量無制限。保存最大30日 |
| 受取側 | 13/20 | 通常便は登録不要。セキュリティ便は受取申請が必要。無料は広告あり |
| コスパ | 16/20 | ビジネスプラン月330〜550円。無料は容量2〜5GBと小さい |
データ便は、株式会社ファルコが運営するファイル転送サービスだ。プライバシーマーク取得済みで、データセンターはISO27001認証を取得している。
最大の強みはセキュリティ便。送信者がファイルをアップロードした後、受取側が「受け取りを申請」し、送信者が承認して初めてダウンロードできる。誤送信を防ぐ手段として法人に評価されている。フリープランでも利用可能だ。
ビジネスプラン(月330〜550円)では2要素認証、送信履歴6ヶ月保管、パスワード自動生成などが加わる。認証・監査機能の充実度は今回の5サービスで2位(クリプト便に次ぐ)。
デメリット:
- 無料プランは最大5GB。大容量の動画送信には向かない
- セキュリティ便は受取側にも操作が必要。ITに不慣れな取引先だと戸惑う
- 保存時の暗号化方式(AES等)が公式サイトで公開されていない
- ウイルススキャン機能がない
こんな法人におすすめ: 誤送信対策を最優先にしたい士業・金融機関。ISO27001認証が求められる企業間取引。
3位 クリプト便(53/100点)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 14/20 | TLS暗号化。ファイル暗号化方式は非公開だがNRIセキュア運営の信頼性 |
| 認証・監査 | 20/20 | ISO27001/27017/27018 + ISMAP + PCI DSS + AAAis。IP制限・監査ログ・承認機能標準 |
| 容量 | 4/20 | 基本5〜20MB/通。大容量オプションでも最大10GB。保存7〜25日 |
| 受取側 | 12/20 | オープングループで未登録者DL可。クローズドは事前登録必須。広告なし |
| コスパ | 3/20 | エントリー(20ユーザー)で約22,000円/月〜。無料プランなし |
クリプト便は、NRIセキュアテクノロジーズが提供するエンタープライズ向けファイル転送サービスだ。
認証・監査機能は文句なしの満点。ISO27001/27017/27018の3規格に加え、ISMAP(政府クラウドリスト)登録、PCI DSS準拠、情報セキュリティ格付け最高位「AAAis」を取得している。IP制限・監査ログ・送信承認・送信取り消しが標準機能として搭載されている。
一方で、基本プランの送信容量は5〜20MB/通と極めて小さい。大容量オプションをつけても最大10GB/通だ。料金もエントリープラン(20ユーザー)で税抜1,000円/ユーザー/月、つまり月額約22,000円〜。初期費用・超過料金も別途かかる。
デメリット:
- 基本5〜20MB/通。動画や大容量ファイルの送信には非対応
- 最低でも月2万円超。中小企業・フリーランスには高額
- 導入に時間がかかる(申込→審査→設定)。無料プランなし
こんな法人におすすめ: 金融・官公庁・大手企業。コンプライアンス要件が厳しく、予算に余裕があり、送るファイルが書類中心(大容量不要)の組織。
4位 firestorage 有料プラン(51/100点)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 10/20 | SSL通信 + DL URL暗号化 + 特許申請中の独自技術。ファイル暗号化方式は非公開 |
| 認証・監査 | 8/20 | Pマーク・ISO27001はデータセンター側の認証。firestorage自体の認証は未確認 |
| 容量 | 11/20 | ライト会員25GiB、正会員100GiB。無料は300GiB(おくる機能)。保存最大14日 |
| 受取側 | 14/20 | 登録不要。有料プランは広告なし。2006年からの老舗で安心感あり |
| コスパ | 8/20 | 個人有料プラン月1,320〜2,420円。法人専用プランは月54,780円〜+初期費用で別物 |
firestorageは、ロジックファクトリー株式会社が運営する老舗のファイル転送サービスだ。2006年からサービスを提供しており、国内データセンターで24時間365日監視を行っている。
注意点として、firestorageには「個人有料プラン」と「法人専用プラン」がある。個人有料プランはライト会員(月1,320円・25GiB)と正会員(月2,420円・100GiB)。法人専用プランは月54,780円〜+初期費用55,000円〜で、独自サブドメインや管理者画面が付く。中小企業が使うなら個人有料プランが現実的だ。
なお、公式サイトで「プライバシーマーク取得」「ISO27001取得」と記載されているのはデータセンター側の認証であり、firestorage(ロジックファクトリー株式会社)自体の認証は公式サイトで確認できなかった。
デメリット:
- 個人有料プランでも月1,320円〜。同等の暗号化が月550円で使えるサービスと比べると割高
- Pマーク・ISOはDC側の認証。firestorage自体のセキュリティ認証は未確認
- ウイルススキャンなし。2要素認証なし
こんな法人におすすめ: 長年の実績と知名度を重視する企業。既にfirestorageを無料で使っていて、広告なしに移行したい場合。
5位 Kozutumi(48/100点)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 13/20 | 自動暗号化(方式非公開)。ウイルススキャン全プラン標準。DL回数制限3回標準 |
| 認証・監査 | 16/20 | ISMS + ISMSクラウド認証。監査ログ標準(有料10年保管)。タイムスタンプ。サイバー保険(スターター以上) |
| 容量 | 3/20 | 2GB/ファイル。無料は月100MB。パーソナル月3GB。スターター月20GB |
| 受取側 | 10/20 | ゲストDL可だが手順あり。法人向けUIで一般ユーザーには取っつきにくい |
| コスパ | 6/20 | パーソナル990円/月(1名・3GB)。スターター6,600円/月(80名・20GB)。無料は月100MBで実用性なし |
Kozutumi(コズツミ)は、ユビキタスAIコーポレーションが提供するセキュリティ特化型のファイル転送サービスだ。ISMS認証およびISMSクラウドセキュリティ認証を取得している。
他にない特長は2つ。サイバー保険が自動付帯(スターター以上、東京海上日動)と、監査ログを最大10年保管できること。タイムスタンプによる内容証明にも対応している。送信中止機能(相手DL前ならキャンセル可)もある。
ただし、1ファイル2GBまで・月間送信量も制限あり(パーソナルで月3GB)と、容量面では大幅に制約がある。大容量ファイルの送信には向かない。
デメリット:
- 2GB/ファイルが上限。動画・CADデータなど大容量には非対応
- 無料プランは月100MBで実質お試しにもならない
- パーソナル(1名)でも月990円。1名で月3GBは少ない
- サイバー保険はスターター(月6,600円)以上のみ
こんな法人におすすめ: 士業・医療など、情報漏洩の損害が特に大きい業種で、送るファイルが書類中心(数MB〜数百MB)の場合。10年分の監査ログが求められるケース。
ギガファイル便を法人で使うリスクとは
「無料だから」とギガファイル便を業務で使っている会社は多い。300GBまで無料で送れるので、容量面では確かに不足しない。
ただし、法人利用にはリスクがある。
1. ファイル暗号化方式が非公開
通信経路はSSL/TLSで暗号化されるが、サーバーに保存されたファイル自体がAES等で暗号化されているかは公表されていない。
2. 監査ログがない
「誰が・いつ・何をダウンロードしたか」の管理機能がない。情報漏洩時に経路の特定ができない。
3. 広告クリック誘導のリスク
ダウンロードページに広告が多数表示される。取引先がダウンロードボタンと広告バナーを間違えてクリックし、不審なサイトに遷移するリスクがある。
4. プライバシーマーク未取得
個人情報を含むファイル(顧客リスト、契約書等)を送るなら、Pマーク取得サービスを選ぶ方がリスクは低い。

情報漏洩1件の損害額は、ファイル転送サービスの月額料金とは桁が違う。「無料で使える = ビジネスで使っていい」ではない。
関連記事: ギガファイル便は危険?セキュリティの実態と安全な使い方
【用途別】おすすめセキュアファイル転送サービス
| こんな法人 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| まず無料で試したい | ギガワタス | 無料でAES-256 + 300GB。広告も少ない |
| 誤送信対策が最優先 | データ便 | セキュリティ便(無料でも可)で受取承認フロー |
| コンプライアンス厳格な大企業 | クリプト便 | 6認証取得。金融・官公庁実績。月2万円〜 |
| 10年監査ログ+保険が必要 | Kozutumi | ISMS認証。サイバー保険付帯。士業に強い |
よくある質問
Q. 無料のファイル転送サービスを法人で使っても大丈夫?
サービスによる。ギガファイル便のように暗号化方式が非公開のサービスで機密ファイルを送るのはリスクがある。ギガワタスなら無料でもAES-256暗号化・パスワード保護・DL回数制限が使えるので、無料でも一定のセキュリティは確保できる。
Q. 取引先にアカウント登録してもらう必要がある?
サービスによる。ギガワタス、ギガファイル便、firestorageは受取側の登録不要。データ便のセキュリティ便は受取側にもメール認証が必要。Kozutumiはゲスト受取が可能だが手順がある。取引先の手間を考えると、登録不要で受け取れるサービスが導入しやすい。
Q. PPAP(パスワード付きZIP)の代替になる?
なる。この記事で紹介した5サービスはすべてPPAPの代替手段として使える。PPAPは「パスワードを同じメール経路で送る」のが問題だった。ファイル転送サービスなら、ファイルとパスワードを別経路で共有でき、暗号化も自動で行われる。詳しくは脱PPAPの進め方を参照。
Q. プライバシーマークとISMS認証の違いは?
プライバシーマーク(Pマーク)は個人情報保護に特化した日本独自の認証。ISMS(ISO27001)は情報セキュリティ全般の国際規格。注意すべきは、サービス運営会社自体の認証か、データセンター側の認証かという点。サービス自体が取得しているかを確認しよう。
Q. 料金の相場はいくら?
中小企業向けは月330〜2,500円程度。ギガワタス(月550円)とデータ便ビジネスプラン(月330〜550円)がコスパに優れている。エンタープライズ向け(クリプト便)は月2万円〜。Kozutumiのスターターは月6,600円でサイバー保険付き。
まとめ
セキュアなファイル転送サービスを選ぶポイントは3つだ。
- 暗号化方式: SSL通信だけでなく、ファイル自体がAES-256等で暗号化されるか
- 第三者認証: Pマーク or ISMS認証を取得しているか(DC側ではなくサービス運営会社が)
- まず無料で試せるか: 導入ハードルが低いサービスなら、社内での検証もしやすい
大企業でコンプライアンス要件が厳しいならクリプト便。誤送信対策を最優先にするならデータ便。コストを抑えつつ暗号化と大容量を両立したいなら、まずはギガワタスの無料プランから試してみてほしい。無料でもAES-256暗号化が全ファイルに適用される。





