最終更新日: 2026年5月21日
ファイル転送サービスの「セキュア」は、中身がサービスによってバラバラだ。SSL通信が入っているだけのサービスから、ISMAP登録の最高位認証を取得したサービスまで、安全性の幅は大きい。
結論からいうと、純粋にセキュリティ機能だけで6社を比較すると、クリプト便・ギガワタス・Kozutumiが上位3社になる。ただし最適解は規模と予算で変わる。月数万円のエンタープライズ向け(クリプト便)か、無料でも実用的なギガワタスか、書類中心で10年監査ログが必要な Kozutumi か、用途別に整理した。
この記事では、暗号化/第三者認証/監査ログ/IPアドレス制限/ウイルススキャンの純セキュリティ5軸×20点=100点で6社をスコアリングする。コスト・容量・受取側の使いやすさは「セキュアであるための要件」ではないので、評価軸から外した。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp)の運営ブログです。自社サービスも比較対象に含まれていますが、純セキュリティ軸では2位という結果になりました。評価基準・スコアリング方法は記事内で公開しており、ギガワタスのデメリットも記載しています。各社の機能・認証情報は2026年5月21日時点の公式サイト記載に基づき採点しました。
【評価基準】純セキュリティ5軸×20点=100点
当ブログの比較記事はすべて5項目×20点=100点の同一フォーマットで採点している。今回はその5軸を、容量やコスパを含めない「純セキュリティ機能」のみに再構成した。
① 暗号化(/20点)
保存時暗号化方式(AES-256など)が公式に明示されているか、通信時暗号化(TLS)の有無、エンドツーエンド暗号化の対応状況。SSL/TLSだけは10点止まり、保存時にAES-256が明記されていれば15点〜、E2E対応で18点以上を目安にした。
② 第三者認証(/20点)
プライバシーマーク・ISMS(ISO/IEC 27001)・ISMS-CLS(27017)・ISMAP・PCI DSSなどをサービス運営会社自体が取得しているか。データセンター側だけの認証は加点対象外。
③ 監査ログ(/20点)
ダウンロード履歴・送信履歴・ユーザー操作ログの取得可否、保管期間(90日以下〜10年)、CSV/APIエクスポート可否。情報漏洩時に「いつ・誰が・何を」追跡できる粒度で配点した。
④ IPアドレス制限(/20点)
許可IP/CIDRブロックの粒度、ホワイトリスト方式、無料/有料の差。管理UIから自社で設定できるか。アクセス元を絞り込めない構造では4点止まり、公式に明示がない場合も8点以下とした。
⑤ ウイルススキャン(/20点)
スキャン対象(送信時/受信時/両方)、対応サイズ上限、検知時の挙動(ブロック・警告のみ)。スキャンなしは0点、公式に「全プラン対象」と明示があれば14点以上を目安にした。
【総合ランキング】セキュアファイル転送サービス6社の総合スコア
| 順位 | サービス | 運営会社 | 主な認証 | 総合スコア |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | クリプト便 | NRIセキュアテクノロジーズ | ISO27001/27017/27018・ISMAP・PCI DSS・AAAis | 81/100 |
| 2位 | ギガワタス | 株式会社グッドヒルシステムズ | プライバシーマーク | 78/100 |
| 3位 | Kozutumi | 株式会社ハートビーツ | ISMS・ISMSクラウドセキュリティ認証 | 75/100 |
| 4位 | HENNGE Secure Transfer | HENNGE株式会社 | ISMS認証 | 70/100 |
| 5位 | firestorage | ロジックファクトリー株式会社 | プライバシーマーク | 53/100 |
| 6位 | データ便 ビジネスプラン | 株式会社ファルコ | プライバシーマーク | 51/100 |
※ 各社公式サイトの公開情報を基に2026年5月21日時点で採点。各社の機能・認証取得状況は変更される可能性があるため、契約前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
1位 クリプト便(81/100点)

※ 出典: クリプト便公式(撮影日: 2026年5月21日)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 14/20 | TLS通信+自社DC保管。ファイル暗号化方式は「堅牢な暗号化標準」とのみ記載で具体方式は非公開 |
| 第三者認証 | 20/20 | ISO27001/27017/27018・ISMAP登録・PCI DSS準拠・AAAis(情報セキュリティ格付け最高位)の6認証取得 |
| 監査ログ | 18/20 | 送信・受信・承認ログ全件取得。送信取り消しもログに残る |
| IP制限 | 17/20 | 管理者UIから許可IP設定可。標準機能で追加料金なし |
| ウイルススキャン | 12/20 | 標準対応(アップロード時100MB・ダウンロード時20MBのサイズ上限あり)。具体的エンジン名は公式に明示なし |
クリプト便は、NRIセキュアテクノロジーズが運営するエンタープライズ向けファイル転送サービスだ。認証取得状況は本記事の6社中で最強で、ISO27001・27017・27018の3規格、ISMAP登録、PCI DSS準拠、AAAis(情報セキュリティ格付けの最高位)まで取得している。
送信承認フロー・送信取り消し・受取記録など、誤送信対策機能が標準搭載。金融機関・官公庁での導入実績が多い。一方で、基本プランの送信容量は1通あたり5〜20MBと小さく、大容量オプションでも最大10GB/通だ。本記事は容量を採点軸から外しているが、実運用では容量制約が選定の壁になることが多い。
デメリット:
- 基本プランで月額約22,000円〜(20ユーザー)。中小企業・フリーランスには高額
- 送信1通あたりの容量制限が小さく、動画・CADデータ送信には別途オプションが必要
- 申込→審査→契約→設定で導入まで時間がかかる。即日利用不可
こんな法人におすすめ: 金融・官公庁・大企業のうち、コンプライアンス要件が厳しく、送るファイルが書類中心(数MB〜数百MB)の組織。(公式確認日: 2026年5月21日 / クリプト便公式)
2位 ギガワタス(78/100点)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 19/20 | AES-256(保存時・全ファイル自動適用)+ SSL/TLS(通信時)。方式を公式に明記。E2Eは非対応 |
| 第三者認証 | 13/20 | 運営会社(株式会社グッドヒルシステムズ)がプライバシーマーク取得。ISMS(ISO27001)は未取得 |
| 監査ログ | 14/20 | DL履歴・DL通知・送信履歴を取得。無料会員は90日保管・プレミアム会員は長期保管 |
| IP制限 | 18/20 | 許可IPアドレス・CIDRブロックを管理画面で設定可。無料会員でも利用可能 |
| ウイルススキャン | 14/20 | 無料会員で利用可。対象は500MB以下のファイルのみ。検知時はアップロード時に警告 |
ギガワタスは、プライバシーマーク取得企業(株式会社グッドヒルシステムズ)が運営する大容量ファイル転送サービスだ。純セキュリティ軸では2位だが、無料会員登録だけで暗号化・IP制限・監査ログ・ウイルススキャンの主要機能がすべて使えるのは6社中で唯一の構造になる。

暗号化はAES-256(保存時)+ SSL/TLS(通信時)を公式に明記し、すべてのアップロードファイルに自動適用される。クリプト便・データ便・Kozutumi・HENNGE のように「方式非公開」ではないので、取引先や情報システム部に説明しやすい。

IP制限は許可IPアドレスとCIDRブロック単位で指定でき、無料会員でも利用可能。2026年4月のプラン変更で、以前はプレミアム限定だったウイルススキャン・IP制限・DL履歴・DL通知が無料会員に開放された。
デメリット(4点開示):
- ISMS(ISO27001)未取得。Pマークのみ。ISO27001取得が取引条件のエンタープライズ案件には対応できない
- 2要素認証なし。送信前の承認フローもないため、誤送信対策はDL回数制限・ワンタイムDLなど受信側制御で行う
- ウイルススキャン対象は500MB以下のファイルのみ。大容量動画はスキャン対象外(ファイル自体はAES-256で暗号化される)
- 無料会員の監査ログ保管は90日。長期保管が必要な業種はプレミアム会員(月550円)が必要
こんな法人におすすめ: 中小企業・個人事業主・クリエイターのうち、AES-256暗号化とIP制限を無料で導入したい組織。Pマーク取得サービスが取引先要件を満たすケース。(公式確認日: 2026年5月21日 / ギガワタス公式)
3位 Kozutumi(75/100点)

※ 出典: Kozutumi公式(撮影日: 2026年5月21日)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 13/20 | 自動暗号化 + TLS。AES-256など具体方式は公式に非公開 |
| 第三者認証 | 17/20 | ISMS(ISO27001)+ ISMSクラウドセキュリティ認証(ISO27017)取得 |
| 監査ログ | 20/20 | 送受信履歴・ログ保管期間は最大10年(プランによる)。タイムスタンプ対応 |
| IP制限 | 8/20 | 公式に明示の機能記載なし。要問い合わせ扱い |
| ウイルススキャン | 17/20 | 送信時に標準でウイルスチェック実施。検知時はアップロードブロック |
Kozutumi(コズツミ)は、株式会社ハートビーツが運営するセキュリティ特化型ファイル転送サービスだ。他社にない強みは「監査ログ最大10年保管」と「サイバー保険自動付帯」(スターター以上、東京海上日動)。タイムスタンプによる送信内容証明にも対応する。
一方で、1ファイル2GBまでの容量制限とパーソナルプラン月3GBの送信枠は、大容量ファイルを扱う用途には向かない。本記事は容量を採点軸から外しているが、士業・医療など書類中心の業種にフィットする設計になっている。
デメリット:
- IP制限の公式明示が薄く、必要なら導入前に要問い合わせ
- 1ファイル2GB上限。動画・大容量データ送信には向かない
- 無料プランは月100MBで実質お試し未満
こんな法人におすすめ: 士業・医療など、情報漏洩の損害が大きい業種で、送るファイルが書類中心の場合。10年分の監査ログ・サイバー保険が要件のケース。(公式確認日: 2026年5月21日 / Kozutumi公式)
4位 HENNGE Secure Transfer(70/100点)

※ 出典: HENNGE Secure Transfer公式(撮影日: 2026年5月21日)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 12/20 | TLS(転送時)+ 保存時暗号化あり。AES-256など具体方式は公式に非公開 |
| 第三者認証 | 15/20 | HENNGE株式会社がISMS認証取得(公式フッターに表記) |
| 監査ログ | 15/20 | 最大1年間のユーザー利用ログ・送受信ファイル元データを管理コンソールから確認可能(プランによる) |
| IP制限 | 14/20 | HENNGE Access Control契約時にSecure Transfer認証でIPアドレス制御を設定可能(公式ヘルプ確認) |
| ウイルススキャン | 14/20 | 標準でウイルススキャンを実施。検知ファイルはダウンロード不可、ブロック機能はデフォルト有効。500MB超・暗号化ファイル等はスキャン対象外(公式ヘルプ) |
※ 暗号化方式(AES-256など)と保存時暗号化の詳細は、HENNGE Secure Transfer の公式公開情報では明示されていない。
HENNGE Secure Transferは、HENNGE株式会社(東証プライム上場)が提供する法人向けクラウドサービス。HENNGE Email DLPと組み合わせて誤送信対策を強化できる位置づけだ。シングルサインオン・メール暗号化を含むHENNGE Oneプラットフォームの一部として導入される。
強みは、東証プライム上場企業の信頼性とSaaS基盤の運用安定性。HENNGE Access Control契約を組み合わせるとIPアドレス制御も可能で、ウイルススキャンも標準対応する。すでにHENNGE Oneを導入している企業なら、追加導入のハードルが低い。一方で、純セキュリティ5軸でみると保存時暗号化方式(AES-256など)の公式明示がないのが惜しい構造になっている。
デメリット:
- 保存時暗号化の具体方式(AES-256など)の公式明示がない
- IPアドレス制限はHENNGE Access Control契約が前提(追加ライセンス必要)
- HENNGE One本体の契約が前提。ファイル転送機能だけの単独利用は想定されていない
- 料金はHENNGE Oneライセンス含めて最小構成でも年間数十万円規模
こんな法人におすすめ: 既にHENNGE OneでSSO・メール暗号化を導入している大企業。東証プライム上場SaaS企業の運用基盤を重視する組織。(公式確認日: 2026年5月21日 / HENNGE Secure Transfer公式・IPアドレス制限ヘルプ・ウイルススキャンヘルプ)
5位 firestorage(53/100点)

※ 出典: firestorageセキュリティ公式(撮影日: 2026年5月21日)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 10/20 | 有料会員・法人プランで全操作をSSL通信暗号化。AES-256など保存時暗号化方式は公式に明示なし |
| 第三者認証 | 13/20 | 運営会社(ロジックファクトリー株式会社)がプライバシーマーク取得 |
| 監査ログ | 10/20 | 法人プラン限定で操作ログ管理可。「いつ・誰が・どんな作業」を把握。情報開示請求可 |
| IP制限 | 6/20 | 公式に明示の機能記載なし |
| ウイルススキャン | 14/20 | 未登録ユーザー・無料会員・有料会員のアップロード時に全プラン対象でウイルスチェック実施 |
firestorageは2006年からの老舗ファイル転送サービスで、運営会社のロジックファクトリー株式会社がプライバシーマークを取得している。ウイルススキャンが全プランで対象(未登録・無料・有料・法人すべてでアップロード時に実行)になっている点は他社にない強みだ。
一方で、保存時暗号化方式(AES-256など)が公式に明示されておらず、IP制限機能の公式記載もないため、純セキュリティ採点では下位になった。「特許申請中の独自暗号化技術」とのみ公開ページに記載されている。
デメリット:
- 保存時暗号化方式が公式に非公開(独自技術とのみ記載)
- IP制限の公式明示なし
- 監査ログは法人プラン限定。個人有料プランは限定的
こんな法人におすすめ: 長年の知名度・実績を重視し、運営会社のPマーク取得とウイルススキャンが取引条件を満たすケース。(公式確認日: 2026年5月21日 / firestorageセキュリティ公式)
6位 データ便 ビジネスプラン(51/100点)

※ 出典: データ便ビジネスプラン公式(撮影日: 2026年5月21日)
| 評価項目 | スコア | 根拠 |
|---|---|---|
| 暗号化 | 12/20 | SSL/TLS通信暗号化。保存時暗号化の具体方式は公式に明示なし |
| 第三者認証 | 14/20 | 運営会社プライバシーマーク取得。サーバ環境はISO27001。ビジネスプランで2要素認証対応 |
| 監査ログ | 14/20 | 送信履歴をビジネスプランで6ヶ月保管。CSV出力可 |
| IP制限 | 6/20 | 「ダウンロード元IPアドレスの取得」(ログ取得機能)は公式記載あり。許可IPによるアクセス制限の公式記載は未確認 |
| ウイルススキャン | 5/20 | 標準でウイルススキャン機能なし |
データ便のビジネスプラン(月330〜550円・税込)は、株式会社ファルコが運営するファイル転送サービスの法人向け上位プラン。「セキュリティ便」機能が最大の差別化要素で、送信者がアップロード→受取側が受け取りを申請→送信者が承認、というフローで誤送信対策ができる。
第三者認証は運営会社のプライバシーマーク取得、サーバ環境のISO27001取得という構成。ビジネスプランで2要素認証・送信履歴6ヶ月保管が加わる。一方で、保存時の暗号化方式が公式に明示されておらず、ウイルススキャンも標準機能にない。「IP取得(ログ)」と「IP制限(アクセス制御)」は別機能のため、純セキュリティ採点では下位になった。
デメリット:
- 保存時暗号化の具体方式が公式に非公開。「AES-256で暗号化される」とは明記されていない
- ウイルススキャン機能がない
- 許可IPによるアクセス制限機能の公式記載が見当たらない(ログ用のIP取得とは別)
- セキュリティ便は受取側にも認証操作が必要。ITに不慣れな取引先には説明が必要
こんな法人におすすめ: 誤送信対策(受取承認フロー)を最優先にしたい士業・金融機関。(公式確認日: 2026年5月21日 / データ便公式・ビジネスプラン・送信履歴)
5軸を深掘り — 何を見れば「セキュア」と言えるか
暗号化 — 「SSL対応」だけでは半分しか守れない
多くのファイル転送サービスが「SSL対応」「TLS暗号化」を掲げているが、これは通信経路だけの暗号化で、サーバーに保存されたファイル自体が暗号化されているとは限らない。
本当に守りたいなら、保存時暗号化(at rest)の方式が公式に明示されているサービスを選ぶ。AES-256はNIST FIPS 197で標準化された対称暗号で、現時点で実用的な攻撃手法が知られていない。本記事の6社のうち「保存時にAES-256で暗号化」と公式に明記しているのはギガワタスのみ。クリプト便・Kozutumi・データ便・HENNGE Secure Transfer は「暗号化あり」と書かれているが具体方式は非公開、firestorage は「特許申請中の独自暗号化技術」とのみ記載されている。
第三者認証 — DC側の認証は加点対象外
注意したいのは、「データセンターがISO27001取得」と「サービス運営会社がISO27001取得」は別物ということ。DCはAWSやAzureなどクラウド事業者の認証で、データを預ける運営会社の管理体制を保証するものではない。
本記事ではサービス運営会社自体の認証取得を主な加点対象とし、DC側のみの認証は半分以下の評価とした。Pマークは個人情報保護に特化した日本独自の認証、ISMS(ISO27001)は情報セキュリティ全般の国際規格、ISMAPは政府情報システムのクラウドリストで、要件の厳しさはISMAP > ISO27001 > Pマークの順。
監査ログ — 「保管期間」と「粒度」の2軸で見る
情報漏洩が起きたとき、「誰が・いつ・何をダウンロードしたか」の追跡には監査ログが必須だ。重要なのは、保管期間(90日以下〜10年)とログの粒度。送信履歴だけなのか、受信者IPまで記録されるのか、CSVやAPIでエクスポートできるか。
個人情報保護委員会のガイドラインでは、漏えい時の速報を3〜5日以内、確報を30日(不正アクセスなどは60日)以内に報告するよう求められる。90日以上の監査ログ保管があれば、ほぼ全ての報告要件に対応できる。詳しくはファイル転送のログ管理を参照。
IP制限 — 許可リスト方式が原則
IPアドレス制限は、社外からの不正アクセスを物理的に遮断する有効な手段だ。重要なのは「許可IPホワイトリスト方式」が使えるか。許可した特定のIP/CIDRブロックからのアクセスのみを通し、それ以外は拒否する設計。
テレワーク環境では固定IP化が難しいため、許可IP方式とVPN経由アクセスの組み合わせが現実的な落とし所になる。本記事の6社中、許可IP方式によるアクセス制御を公式で確認できたのは、ギガワタス・クリプト便・HENNGE Secure Transfer(Access Control契約時)の3社。データ便は「ダウンロード元IP取得(ログ機能)」のみ公式記載があり、許可IPによるアクセス制限は公式に確認できなかった。
ウイルススキャン — 「対象サイズ上限」と「対象プラン」を必ず確認
ウイルススキャン機能を備えていても、サイズ上限を超えるファイルはスキャン対象外になる構造が多い。ギガワタスは500MB以下、Kozutumiは2GB以下(全ファイル)など、上限は各社で異なる。また有料プラン限定のサービスもある。本記事6社のうち、全プラン対象でウイルスチェック実施を公式に明示しているのはfirestorage、無料会員でも利用可なのはギガワタス・Kozutumiだ。
大容量動画・CADデータを送る業務では、ウイルススキャンが事実上機能しないケースが出る。送信前に自社環境でアンチウイルスソフトでスキャンしてからアップロードする運用ルールを、ファイル転送サービスのウイルススキャンに依存せず併用するのが安全。
【用途別】こんな法人はこのサービス
| こんな法人 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 金融・官公庁・コンプライアンス厳格 | クリプト便 | ISMAP登録・6認証取得。大企業導入実績豊富 |
| 中小・個人事業主で無料導入したい | ギガワタス | AES-256・IP制限・監査ログを無料会員で利用可 |
| 10年監査ログ・サイバー保険が要件 | Kozutumi | 監査ログ最大10年保管。書類中心の業務向け |
| 誤送信対策を最優先 | データ便 ビジネス | セキュリティ便で受取承認フロー |
| SSO・メール暗号化を既に導入済み | HENNGE Secure Transfer | HENNGE One統合で運用工数を最小化 |
| 老舗の知名度+ウイルススキャン重視 | firestorage | 運営会社Pマーク+全プラン対象でウイルスチェック |
ギガファイル便を法人で使うリスク
「無料だから」とギガファイル便を業務で使っている会社は多い。300GBまで無料で送れるので容量面では不足しないが、本記事の純セキュリティ5軸で採点すると、ほとんどの項目で得点が低い。
- 暗号化方式が非公開: SSL/TLS通信暗号化のみ明記。保存時暗号化方式はサポートに問い合わせる必要がある
- 第三者認証なし: 運営会社のPマーク・ISMS取得は公式に確認できない
- 監査ログなし: ダウンロード履歴の管理機能がない(送信者側で確認不可)
- IP制限なし: アクセス元を絞れない
- 広告誤クリックリスク: 取引先がDLボタンと広告バナーを取り違えるリスク

情報漏洩1件の損害額は、ファイル転送サービスの月額料金とは桁が違う。「無料で使える ≠ ビジネスで使っていい」を社内ルールに落とし込むのが先決だ。詳しくはギガファイル便は危険?セキュリティの実態を参照。
よくある質問
Q. 無料のファイル転送サービスを法人で使っても大丈夫?
サービスによる。ギガファイル便のように暗号化方式が非公開で第三者認証も持たないサービスで機密ファイルを送るのはリスクが高い。ギガワタスはPマーク取得・AES-256明示・無料会員でIP制限/監査ログが利用可能で、無料でも本記事の純セキュリティ5軸で78点を獲得している。
Q. Pマーク・ISMS・ISMAPの違いは?
Pマーク(プライバシーマーク)は個人情報保護に特化した日本独自の認証。ISMS(ISO/IEC 27001)は情報セキュリティ全般の国際規格で、Pマークより範囲が広い。ISMAPは政府情報システムのクラウドサービス登録制度で、要件が最も厳しい。取引先が要求するレベルに応じて選ぶ。
Q. 「SSL対応」のサービスなら安全?
不十分。SSL/TLSは通信経路の暗号化だけで、サーバーに保存されたファイル自体が暗号化されている保証はない。保存時暗号化方式(AES-256など)が公式に明示されているサービスを選ぶのが原則。本記事6社のうち、AES-256を公式明示しているのはギガワタスのみ。
Q. ファイル転送サービスのウイルススキャンに頼っていい?
補助的な防御線として使う。多くのサービスがファイルサイズ上限(500MB〜2GB程度)を持つため、大容量ファイルはスキャン対象外になる。送信前に自社環境でアンチウイルスソフトでスキャンする運用と併用するのが安全。
Q. IPアドレス制限はどんな場面で効く?
許可IPホワイトリスト方式で、社外からの不正アクセスを物理的に遮断できる。退職者の認証情報が流出した場合や、フィッシングでURLが拡散した場合も、許可IP外からはダウンロードできない。テレワーク環境ではVPN固定IPとの組み合わせが現実的。
Q. 監査ログは何日保管できれば十分?
最低90日。個人情報保護法では漏えい時の確報を30日(不正アクセスなどは60日)以内に求めるため、それを超える保管期間があれば対応できる。業種によっては3〜7年の保管が求められるため、Kozutumiの最大10年保管などが選ばれる。
Q. PPAP(パスワード付きZIP)の代替として使える?
使える。本記事の6サービスはすべてPPAP代替として機能する。PPAPはパスワードを同じメール経路で送るのが本質的問題だった。ファイル転送サービスならファイルとパスワードを別経路で共有でき、保存時暗号化も自動で行われる。詳しくは脱PPAPの進め方を参照。
Q. セキュアファイル転送サービスの料金相場は?
エンタープライズ向け(クリプト便・HENNGE Secure Transfer)は月数万円〜年間数十万円規模。中小向け(データ便ビジネス・ギガワタスプレミアム)は月数百円〜数千円。ギガワタスは無料会員で純セキュリティ5軸の主要機能がすべて利用可能。
まとめ — セキュアファイル転送サービスは「軸」で選ぶ
セキュアなファイル転送サービスを選ぶときの判断軸は3つだ。
- 取引先の要件レベル: ISMAPやISO27001が必須なら クリプト便、Pマークで十分なら ギガワタス・データ便ビジネス・firestorage、ISMS(27001)取得済なら Kozutumi・HENNGE Secure Transfer
- 運用工数と予算: 既存のSSO・メール暗号化と統合したい大企業は HENNGE Secure Transfer。即日無料で始めたい中小は ギガワタス
- 送るファイルの種類: 大容量動画・CADなら ギガワタス(333GB)。書類中心で長期監査ログが必要なら Kozutumi(最大10年)
「セキュア」は1つの正解があるわけではない。本記事のスコアは純セキュリティ軸での評価で、容量・コスパ・受取側の使いやすさは別軸としてファイル転送サービス15社の総合比較やクラウド/転送/チャット12社比較で扱っている。組み合わせて判断してほしい。
まず無料でAES-256・IP制限・監査ログを試したい中小企業・個人事業主の方は、ギガワタスの無料会員登録から始めるのが現実的な第一歩になる。
出典一覧(公式確認日: 2026年5月21日)
- クリプト便: NRIセキュアテクノロジーズ公式
- ギガワタス: giga-watasu.jp 公式
- Kozutumi: kozutumi.com(株式会社ハートビーツ運営)
- データ便: datadeliver.net 公式 / ビジネスプラン / 送信履歴ガイド
- HENNGE Secure Transfer: HENNGE公式 / IPアドレス制限ヘルプ / ウイルススキャンヘルプ
- firestorage: firestorageセキュリティページ
- 個人情報保護委員会: 公式サイト(漏えい時の報告要件)
- NIST FIPS 197(AES標準仕様): csrc.nist.gov/pubs/fips/197/final






