最終更新日: 2026年8月14日
クリプト便は、NRIセキュアテクノロジーズが提供する法人向けのセキュアファイル転送サービスです。企業が契約して社員に配るタイプなので、あなたが受信者なら「取引先が契約しているサービスから届いた」という状態になります。受信者自身がNRIセキュアと契約したり料金を払ったりする必要は通常ありません。
ただし送信方式が2種類あり、オープン送信なら未登録のまま受け取れる一方、クローズド送信では送信元から付与されたIDでのログインが必要です。この記事では、届いた人向けの受け取り方・ログインできないときの対処を公式情報で整理したうえで、導入検討者向けに料金・容量・認証をまとめます。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp)の運営ブログです。当社も同じファイル転送サービスを提供しており、クリプト便は競合にあたります。そのうえで、事実に基づいて解説します。
クリプト便とは|NRIセキュアが20年以上提供する法人向けサービス
クリプト便は、野村総合研究所グループの情報セキュリティ専門会社であるNRIセキュアテクノロジーズが運営するファイル転送・共有サービスです。サービス開始から20年以上が経過しています。
特徴的なのは導入層です。金融機関を中心に採用されており、公式サイトではユーザー間ファイル転送市場で売上金額シェア14年連続1位と表示されています(2011〜2024年度・出典はITR「ITR Market View:コラボレーション/ナレッジ共有市場2025」と明記)。導入事例として住友生命保険、株式会社ジェーシービー、清水建設、株式会社クボタ、埼玉県信用保証協会などが公開されています。
つまりどんなサービスか「無料で誰でも使える大容量転送サービス」ではなく、企業が月額契約して、社員が業務で機密ファイルをやり取りするためのサービスです。ギガファイル便やギガワタスのような無料サービスとは立ち位置が違います。
クリプト便でファイルが届いた|受け取り方は送信方式で変わる
「取引先からクリプト便でファイルが届いたが、これは何なのか」という状況の人がもっとも多いはずです。受信者自身がNRIセキュアと契約する必要は通常ありません。ただし受け取り手順は、送信元がどちらの方式で送ったかによって変わります。
クリプト便の2つの送信方式と受信者側の手順
| 送信方式 |
受信者のアカウント |
受け取りの流れ |
| オープン送信 |
不要 |
未登録のままファイルを受け取れる |
| クローズド送信 |
必要 |
送信元があらかじめ受信者をユーザー登録し、付与されたIDでログインする |
※ 公式サイトの記載にもとづく(2026年8月14日確認)。実際にどちらで送られたかは送信元の運用によります。
クローズド送信は、受け取り側をあらかじめ登録して宛先を厳密に限定する方式です。住友生命保険の導入事例では、保険加入者の個人情報の受け渡しにクローズド送信を使い誤送信リスクを抑えていると公開されています。金融機関からの書類がクリプト便で届く場合、こちらの可能性があります。
クリプト便にログインできないとき
「クリプト便 ログイン」は検索も多く、つまずきやすいところです。利用者向けの公式FAQでは、ユーザーがログインできない原因として次の4つが挙げられています(2026年8月14日確認)。
クリプト便にログインできない原因と対処(公式FAQより)
| 原因 |
対処 |
| ID・パスワードが違う |
アカウントを発行した管理者に確認する |
| アカウントがロックされている |
管理者にロック解除を依頼する(パスワードを忘れている場合は初期化も同時に依頼) |
| 接続元IPアドレスが制限されている |
許可された場所から接続する。エラー画面に自分の接続元IPが表示される |
| ログインURLが違う |
専用ログイン画面や認証連携を使っている場合は専用URLが必要。管理者に確認する |
ここで重要なのが問い合わせ先です。公式FAQには、ヘルプデスクの連絡先はセキュリティ上の観点から管理者以外には知らせていないと明記されています。さらに、ユーザー管理は契約企業の管理者が行っているため、クリプト便のヘルプデスクではID・パスワードの開示もアカウントのロック解除もできません。
他社から発行されたIDの場合公式FAQは「他社から発行されたIDをご利用の方は、管理者が自社にいない場合があります」とし、その場合は最初にIDを付与した担当者、または普段クリプト便でやり取りしている担当者に問い合わせるよう案内しています。取引先から発行されたIDでつまずいたら、NRIセキュアではなく取引先の担当者が窓口です。
ファイルのパスワードがわからないとき
公式FAQの回答は明快です。「メッセージの送信者にパスワードをご確認ください。セキュリティ上の制約から、クリプト便ヘルプデスクにて、パスワードを確認することはできません」と記載されています。
なお、クリプト便にはメール添付ファイルを自動でクリプト便送信に切り替えるオプション機能(脱PPAP機能)があり、公式の説明によればこの機能が使われている場合は受信者がダウンロードURLとパスワードを別々のメールで受け取ります。まずは別の通知メールや迷惑メールフォルダを確認し、それでも見つからなければ送信者に確認してください。当社を含め第三者が再発行することはできません。
ページが表示されない・エラーが出るとき
期限内なのに画面が開かない場合、公式FAQは次の原因を挙げています。
- Webフィルタリングソフトによるアクセス制限 — 他のWebページは見られるのにクリプト便だけ開かない場合はこれが疑われます。公式は、クリプト便のURL
https://cryvia.cryptobin.jp/ をホワイトリストに追加するようフィルタリングソフト管理者へ依頼することを案内しています(末尾の「/」以降にランダムな文字列が続くため、その先もアクセスできる設定が必要です)
- Cookie・キャッシュの影響 — 「サーバーからの応答が不正です」「サーバーとの通信に失敗しました」と表示される場合、キャッシュとCookieを削除してブラウザを再起動する、別のブラウザで試す、といった手順が案内されています
- メールが文字化けする — 通知メールの文字化けは、メールソフトがUTF-8に対応していない場合に起こると説明されています。メールソフトのエンコード設定をUTF-8にすることで解消する場合があります
ダウンロード期限が切れている場合
クリプト便のダウンロード期限は、ファイル容量によって設定できる範囲が変わります。公式のよくある質問には次のように記載されています。
クリプト便のダウンロード期限(公式FAQの記載どおり)
| ファイル容量 |
設定できる期限 |
| 20MB以内 |
最大25日まで |
| 20MB以上 |
最大7日まで |
| 大容量送付オプション利用時 |
1〜7日間で設定 |
※ 公式FAQの表記をそのまま引用しています。「20MB以内」と「20MB以上」は20MBちょうどが両方に含まれる表記になっているため、境界の正確な扱いは送信元またはNRIセキュアにご確認ください。最終確認日: 2026年8月14日。
期限を過ぎたファイルは、公式の説明によればサーバー上から復元できない形で論理削除されます。つまり期限切れの場合、送信元に再送を依頼する以外に方法はありません。「あとで落とそう」と放置すると、容量次第では1週間で消えます。
クリプト便の料金|公式に掲載されているのは法人向けの有料プラン
公式サイトに掲載されている基本料金は次のとおりです(月額・1ユーザーあたり)。
クリプト便の料金プラン(2026年8月14日時点の公式表示)
| プラン |
月額/1ユーザー |
含まれるユーザー数 |
1通あたり容量 |
送信通数 |
| エントリー |
1,000円 |
20ユーザーまで |
5MB/通 |
100通/月 |
| ライト |
1,000円 |
50ユーザーまで |
10MB/通 |
400通/月 |
| スタンダード |
900円 |
100ユーザーまで |
20MB/通 |
1,000通/月 |
| 個別見積 |
別途見積 |
規模に応じて |
別途見積 |
別途見積 |
※ 公式サイトの料金表より。税表記は公式に明示がないため契約前にご確認ください。最終確認日: 2026年8月14日。
「1人だけ契約すれば月900円」ではない公式表示は1ユーザーあたりの金額ですが、各プランは20・50・100ユーザーまでの利用料を含む構成です。最低契約人数・最低月額がいくらになるかは公開ページだけでは判断できません。見積もり時に必ず確認してください。
料金表とあわせて、公式サイトには基本料金以外に費用が発生することも明記されています。
- 初期費用 — 導入時に発生します(金額は問い合わせ)
- 超過料金 — ユーザー数・送信通数を超えた場合に発生します
- オプション料金 — 機能を拡張する場合に発生します
導入前に必ず見ておきたい点クリプト便の1通あたり容量は標準では5〜20MBです。「大容量ファイル転送サービス」という言葉から数GBを想像すると大きく食い違います。大容量送付オプションを追加すると最大10GB/通まで拡張できますが、公式サイトによれば20MB/通を超える分は従量課金制です。また1通につき添付できるのは20ファイルまでとされています。
個人が継続的に無料で使えるプランは、公開情報では確認できませんでした。導入検討者向けには1か月の無料トライアルがあり、公式サイトによればトライアル環境の提供までは依頼から約3営業日、本契約の申し込みから利用開始までは最短5営業日前後です。
クリプト便のセキュリティ|複数の第三者認証・評価を公表
同業として正直に書きますが、クリプト便が公表している第三者認証・評価は、当社を含む無料系ファイル転送サービスが並べられる内容ではありません。公式サイトの掲載内容を整理します。
クリプト便が公表しているセキュリティ認証・評価
| 認証・評価 |
内容 |
| ISO/IEC 27001 |
情報セキュリティマネジメントの国際規格を取得 |
| ISO/IEC 27017・27018 |
クラウドサービスおよびクラウド上の個人情報保護に関する国際規格を取得 |
| PCI DSS |
クレジットカード業界の国際セキュリティ基準に準拠 |
| AAAis |
日本セキュリティ格付機構による情報セキュリティ格付けの最高位を付与 |
| ISMAP |
政府情報システム向けのクラウドサービスリストに登録 |
※ 出典はいずれもクリプト便公式サイトの記載(2026年8月14日確認)。
ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)への登録は特に重いポイントです。調達仕様でISMAP登録が指定されている案件では、登録の有無がそのまま候補入りの条件になります。当社ギガワタスはISMAPに登録していないため、そうした案件ではクリプト便が候補になります。
アクセス制御については、公式サイトによればIPアドレス制限は標準機能、証明書による端末認証はオプションで、クリプト便IDとの二要素認証を構成できるとされています。上長承認(事前承認・事後承認・多段承認)もオプションで用意されています。
また、海外クラウドではなく国内の自社データセンターにサーバーを設置しており、データセンターを訪問しての実査が可能である点も公式に明記されています。監査で「データの物理的所在を確認したい」と言われる業種では効いてきます。
一方で、暗号化の具体的な方式(AES-256などの鍵長やアルゴリズム)は、公式のサービス紹介ページでは確認できませんでした。「暗号化、セキュリティ診断、ファイヤーウォールなど堅牢なセキュリティ対策を実施」という記載にとどまります。方式まで確認したい場合は資料請求または問い合わせが必要です。
クリプト便とギガワタスはどう使い分ける?
用途がはっきり分かれるため、正直に整理します。
クリプト便とギガワタスの立ち位置の違い
| 比較項目 |
クリプト便 |
ギガワタス |
| 料金 |
1ユーザーあたり月900〜1,000円+初期費用 |
無料(登録不要でも利用可) |
| 1回の送信上限 |
標準5〜20MB(プラン別) オプションで最大10GB・従量課金 1通20ファイルまで |
合計333GB |
| 保存期間 |
容量により最大25日または最大7日 |
最長111日 |
| 暗号化 |
暗号化を実施と記載。方式は公開ページで確認できず |
AES-256 |
| ウイルス対策 |
公開ページで具体条件を確認できず |
あり(動画・500MB超は対象外) |
| IPアドレス制限 |
標準機能 |
無料会員機能 |
| 上長承認・端末認証 |
オプションで提供 |
× 提供なし(2026年8月14日時点の自社仕様) |
| 受信・ダウンロード管理 |
IPアドレス制限は標準機能。監査ログの詳細は公開ページで確認できず |
無料会員で受取フォルダ・DL通知・DL詳細履歴 (日時・IP・地域・ブラウザ・DL回数) |
| 第三者認証 |
ISO27001/27017/27018、PCI DSS準拠、AAAis、ISMAP |
プライバシーマーク |
| 利用開始まで |
申し込みから最短5営業日 |
すぐ(登録不要で送信可能) |
※ クリプト便は公式サイト・公式FAQの記載、ギガワタスは自社仕様。「確認できず」は当社が公開情報で確認できなかったことを示すもので、機能が存在しないという意味ではありません。最終確認日: 2026年8月14日。
当社が負けている点をはっきり書きます。第三者認証ではクリプト便に全く及びません。ISMAP登録もPCI DSS準拠もAAAis格付けも当社は持っていません。上長承認・端末認証・API連携といった組織統制の機能も、クリプト便のほうが揃っています(当社は無料会員で受取フォルダ・DL通知・DL詳細履歴を提供していますが、承認フローと端末認証はありません)。金融・官公庁のように調達要件で認証が指定される取引をしているなら、当社ではなくクリプト便を選ぶべきです。
一方で、容量と手軽さは正反対です。クリプト便は標準で1通5〜20MBのため、動画や設計データのような数GB単位のファイルを日常的に送るなら、オプション追加と従量課金が前提になります。ギガワタスは登録不要のまま1回333GBまで送れて無料です。
選び分けの目安クリプト便が向くのは、金融・官公庁との取引で第三者認証が調達要件になる企業、社内統制として承認フローや端末認証が必要な組織、機密文書を反復送信する業務。ギガワタスが向くのは、大容量ファイルを都度送りたい、契約や初期費用をかけずにまず使いたい、送る相手にも登録を求めたくないケースです。
よくある質問
Q. クリプト便は無料で使えますか?
取引先から受け取るだけなら、受信者自身がNRIセキュアと契約したり料金を払ったりする必要は通常ありません。送る側になるには法人としての契約が必要で、公式サイトの基本料金は1ユーザーあたり月900〜1,000円、これとは別に初期費用が発生すると明記されています。個人が継続的に無料で使えるプランは公開情報では確認できませんでした。導入検討であれば1か月の無料トライアルが利用できます。
Q. クリプト便でファイルが届きました。何をすればいいですか?
届いたメールに記載されたURLを開きます。オープン送信で送られた場合はアカウントなしで受け取れますが、クローズド送信の場合は送信元から付与されたID・パスワードでのログインが必要です。ファイルにパスワードが設定されている場合は、送信者に確認してください。脱PPAPオプションが使われている場合は、URLとパスワードが別々のメールで届きます。
Q. クリプト便にログインできません。どこに問い合わせればいいですか?
アカウントを発行した管理者に問い合わせてください。公式FAQによれば、ヘルプデスクの連絡先はセキュリティ上の観点から管理者以外には知らされておらず、ヘルプデスクではID・パスワードの開示もアカウントのロック解除もできません。取引先から発行されたIDの場合は、最初にIDを付与した担当者、または普段やり取りしている担当者が窓口になります。原因としてはID・パスワードの誤り、アカウントロック、接続元IPアドレス制限、ログインURLの相違が挙げられています。
Q. クリプト便の画面が表示されません。
他のWebページは見られるのにクリプト便だけ開かない場合、公式FAQはWebフィルタリングソフトによるアクセス制限を挙げています。クリプト便のURL https://cryvia.cryptobin.jp/ をホワイトリストに追加するよう、フィルタリングソフトの管理者へ依頼してください(末尾の「/」以降にランダムな文字列が続くため、その先もアクセスできる設定が必要です)。「サーバーとの通信に失敗しました」と表示される場合は、Cookie・キャッシュの削除や別ブラウザでの確認が案内されています。
Q. クリプト便で何GBまで送れますか?
標準では1通あたり5MB〜20MBで、プランによって上限が異なります(エントリー5MB/ライト10MB/スタンダード20MB)。大容量送付オプションを追加すると最大10GB/通まで拡張でき、このオプションはどのプランにも追加可能と公式に記載されています。ただし20MB/通を超える分は従量課金制です。1通につき添付できるファイル数は20ファイルまでです。
Q. クリプト便のファイルはいつまでダウンロードできますか?
ファイル容量によって設定できる範囲が異なります。公式FAQでは20MB以内なら最大25日、20MB以上なら最大7日、大容量送付オプション利用時は1〜7日で設定可能とされています(20MBちょうどの扱いは表記上重複しているため、境界は送信元にご確認ください)。実際の期限は送信者が設定した値によります。期限を過ぎるとサーバー上から復元できない形で論理削除されるため、再送を依頼するしかありません。
Q. クリプト便はどこの会社が運営していますか?
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社です。野村総合研究所(NRI)グループの情報セキュリティ専門会社で、クリプト便はサービス開始から20年以上が経過しています。公式サイトではユーザー間ファイル転送市場の売上金額シェアで14年連続1位(2011〜2024年度/出典:ITR「ITR Market View:コラボレーション/ナレッジ共有市場2025」)と表示されています。
Q. クリプト便は海外とのやり取りにも使えますか?
公式のよくある質問では可能とされており、表示言語は日本語・英語・中国語に対応していると記載されています。ただしサーバーは国内の自社データセンターに設置されている点が公式に明記されているため、データの所在地に関する要件がある場合は事前に確認してください。
まとめ
クリプト便は、NRIセキュアテクノロジーズが20年以上提供している法人向けのセキュアファイル転送サービスです。要点を整理します。
- 取引先から受け取るだけなら、受信者自身がNRIセキュアと契約したり料金を払ったりする必要は通常ない。ただしクローズド送信では送信元が付与したIDでのログインが必要
- 問い合わせ先は用件で分かれる。ログインできない・アカウントがロックされた場合はアカウントを発行した管理者、添付ファイルのパスワードがわからない場合はメッセージの送信者。いずれも一般ユーザーがNRIセキュアのヘルプデスクへ直接問い合わせる案内にはなっていない
- 送る側は法人契約が必要。1ユーザーあたり月900〜1,000円に加えて初期費用が発生し、各プランは20〜100ユーザー分を含む構成
- 1通の容量は標準5〜20MB・20ファイルまで。大容量が必要ならオプション(最大10GB・従量課金)が前提
- ダウンロード期限は容量により最大25日または7日。過ぎると復元できない
- ISO27001/27017/27018、PCI DSS準拠、AAAis、ISMAP登録を公表している
金融機関や官公庁との取引で第三者認証が調達要件になるなら、クリプト便は有力な選択肢です。当社は認証面で及びません。
逆に、契約や初期費用をかけずに大容量ファイルをすぐ送りたいのであれば、無料のサービスで足ります。ギガワタスは登録不要のまま1回333GBまで、AES-256暗号化とウイルススキャン(動画・500MB超を除く)付きで送れます。まずは試してみてください。