最終更新日: 2026年8月28日
HStorage(エイチストレージ)は、2020年設立の合同会社HCloudが提供する、日本発のクラウドストレージです。 無料プランで100GBを保管でき、1回のアップロードは最大100GBまで対応します。REST APIを無料プランを含む全ユーザーに開放し、FTP・SFTP・WebDAVにも対応します(こちらはビジネスプランまたは買い切りプランが対象)。LINEヤフーや国立大学法人などの導入実績を公開しています。
検討している方が先に知っておくべき点を2つ書きます。1つは、無料プランの「100GB」には別の制限が付くことです。 保管容量は100GBですが、アップロードできるのは直近30日間で20ファイルまでです。大量の細かいファイルを日常的に送る使い方には向きません。もう1つは、料金と容量の説明が公式サイト内で食い違っていることです。 料金ページには「保管容量500GBごとに1,500円の従量課金」とある一方、法人向け説明資料には「容量無制限・容量に対する課金なし」と書かれています。契約前に必ず最新のプランページと見積もりで確認してください。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp) の運営ブログです。当社もファイル転送サービスを提供しているので、HStorageは競合にあたります。そのうえで先に書いておくと、HStorageが当社より明確に優れている点が5つあります。無料プランでも100GBの保管容量を使えること、FTP・SFTP・WebDAVで既存クライアントから直接つなげること、APIを無料プランを含む全ユーザーに開放していること、SAML・OIDC・Azure AD・LDAPなどのシングルサインオン連携があること、そしてプレミアム・ビジネスプランを対象に稼働率99%のSLAを条文つきで公開していることです。 当社はこの5つをいずれも持っていません。ただし条件も併せて書いておくと、FTP・SFTP・WebDAVとSSO連携はビジネスプランまたは買い切りプランが前提で、SLAの対象はプレミアム・ビジネスのみです。無料プランの100GBも、容量の上限であって保管の継続が保証されているわけではありません (公式FAQに、容量確保のため古い順に削除される可能性があると明記されています)。詳細は本文で書きます。加えてHStorageは、FISC安全対策基準60項目に対する自己評価を「これは認証ではない」と自ら断ったうえで公開しています。この誠実さは競合として正当に評価します。一方で第三者認証については、当社がプライバシーマーク(登録番号10800077-02)を保有しているのに対し、HStorageの運営元である合同会社HCloudは、ISMS(ISO/IEC 27001)・ISMSクラウドセキュリティ(ISO/IEC 27017)・プライバシーマークのいずれの国内登録簿でも登録を確認できませんでした (2026年8月28日照合。ただし登録簿の性質上、これだけで未取得と断定することはできません。詳細は本文で書きます)。本記事は2026年8月28日時点の公式サイト・利用規約・SLA・法人向け説明資料を確認して書いています。
HStorageとは?運営会社「合同会社HCloud」と基本スペック
HStorageは、東京都港区に所在する合同会社HCloudが運営するクラウドストレージサービスです。法人向け説明資料によれば設立は2020年で、代表社員は長谷川拓也氏。同資料では「セキュリティに全てを賭けた、日本発のクラウドストレージ」と位置づけられています。
HStorage の公式トップページ(2026年9月4日に当ブログで取得)。「導入企業数300+」「セキュリティ事故0」「稼働率99%」と数値を掲げている(いずれも同社の自己申告)。
サービスの性格は、いわゆる「ファイル便」型の一時的な転送サービスとは少し違います。アップロードしたファイルをフォルダで整理して保管し続けることが前提で、そこに共有リンク・ダウンロード回数制限・有効期限といった受け渡し機能が乗っている構成です。Google DriveやDropboxに近い立ち位置に、FTP/SFTPや直リンク配信といった技術者向けの接続手段を足した設計、と考えると分かりやすいと思います。
HStorage(エイチストレージ)の基本スペック(2026年8月28日時点の公式記載)
項目
内容
提供元
合同会社HCloud(東京都港区浜松町2-2-15/2020年設立と法人向け資料に記載)
サービス種別
クラウドストレージ(保管+共有)。FTP・SFTP・WebDAV・REST API・CLIに対応
無料プラン
あり。保管容量100GB/直近30日間で20ファイルまでアップロード可/グループは1つまで
1回のアップロード容量
最大100GB(公式の機能一覧に「100GB / 回」と明記)
有料プラン
プレミアム/ビジネス/エンタープライズ/買い切り。金額は本文の料金セクション参照
登録の要否
送る側はアカウント作成が必要(メールアドレスまたはSNSアカウント)。受け取る側は登録不要
保存期間
明示的な期限なし。ただし無料プランは容量確保のため古い順に削除される可能性があると公式FAQに記載
広告
あり。共有ページの広告非表示はビジネスプラン以上の機能として記載
データ保管場所
日本国内のデータセンター。コンプライアンスページには「Wasabi 日本リージョン」と明記
SLA
月間稼働率99%を保証(プレミアム・ビジネスのみ。無料プランと買い切りプランは対象外)
認証・準拠の公開状況
公式が自社について挙げているのはPCI DSS v4.0 SAQ(カード情報を扱う事業者向けの自己評価質問票で、第三者認証ではない)。ISMS・ISO/IEC 27017・プライバシーマークは国内登録簿で確認できず
出典:HStorage公式サイト /プラン /セキュリティ /SLA /コンプライアンス /利用規約 (いずれも2026年8月28日確認)
公表されている運用規模は、月間訪問者20万人以上、月間ファイル配信3,500万回・20TB超、導入企業300社以上。トップページには、LINEヤフー株式会社、国立大学法人東北大学・千葉大学・北海道大学、株式会社IMAGICA Lab.などの社名が並びます(企業ロゴ欄の更新表記は「2024/08」時点のものです)。サービス開始から4年間セキュリティ事故0件、というのも公式の主張です。これらはいずれも運営元の自己申告であり、第三者が検証した数字ではない点は補って読む必要があります。
HStorageの無料プランは100GB|ただし「30日で20ファイル」の壁がある
HStorageの無料プランは、国内のクラウドストレージとしてはかなり大きい100GBの保管容量を持ちます。法人向け説明資料でも、Google Drive 15GB/OneDrive 5GB/Dropbox 2GBと並べて「国内最大級の無料枠」と位置づけられています。この3社の無料枠と比べれば、確かに大きい枠です。
ただし、容量だけを見て判断すると誤ります。公式FAQには無料プランの制限が明記されています。
HStorage無料(フリー)プランの制限一覧
項目
無料プランの条件
保管容量
合計100GBまで
アップロード数
直近30日間で20ファイルまで
グループ管理
1つまで
API
利用可(レート制限あり。数値は本文参照)
広告
あり(非表示はビジネスプラン以上)
SLA
対象外
この「30日で20ファイル」は暦月ではなくローリングウィンドウ方式です。公式の説明では、4月10日にアップロードしたファイルは5月10日にカウントから外れ、その分だけ新たにアップロードできるようになります。つまり月初にリセットされるのではなく、1件ずつ順番に枠が空いていく方式です。上限に達すると、30日前の分が外れるまで新しいファイルを上げられません。
この制限は、使い方によって重さがまったく変わります。4K動画や大きな圧縮ファイルを月に数本だけ扱う人にとっては、100GBという容量の方が効いてほとんど障害になりません。逆に、写真や書類を1枚ずつ細かく共有する使い方だと、容量が余っていてもファイル数の上限に先に当たります。無料で試すときは「容量」ではなく「月に何ファイル送るか」で判断してください。
保存期間について公式が書いていること
HStorageには「◯日で自動削除」という明示的な保存期限がありません。公式FAQには「サーバーの容量を確保するため、フリープランのファイルが古いものから順に削除される可能性がございますが、事前通告なしにこれを行うことはありません。ビジネス・プレミアムプランではこの制限はありません」と書かれています。無期限保管が保証されているわけではなく、無料プランでは削除の可能性が残る、という位置づけです。一方でユーザー側から日時指定の自動削除やダウンロード回数の上限を設定することはでき、上限に達したファイルは自動的に削除されます。
HStorageの料金|「月額1,391円」の実際と、容量課金の食い違い
料金ページに表示される金額と、法人向け説明資料の価格表を突き合わせると、表示の前提が見えてきます。まず料金ページの表示です。
HStorageのサブスクリプション料金(2026年8月28日時点の公式料金ページ表示)
プラン
表示価格
主な内容
フリー
年額0円
保管100GB/API 5リクエスト/分/APIサポートなし
プレミアム
年額の月額換算1,391円
月間アップロード数の制限解除/API 30リクエスト/分
ビジネス
年額の月額換算1,984円
広告非表示/LDAP・Active Directory連携/WORM保存/タイムスタンプ証跡/FTP/S3互換API
エンタープライズ
月額9,800円
API無制限/電話サポート/大規模運用向けの管理・サポート
この「1,984円」は年払いにしたときの月額換算です。 法人向け説明資料の価格表を見ると、ビジネスプランは10ユーザー以下で月払い2,480円/月、年払い1,984円/月と明記されています。さらに10ユーザー以上で10%オフ、100ユーザー以上で20%オフ、1,000ユーザー以上で30%オフという段階割引があります。つまりビジネスプランは1ユーザーあたりの月額課金で、月払いを選ぶ場合の実質的な下限は2,480円/人・月です。 料金ページの表示だけを見て年額換算の数字で予算を立てると、月払い契約時に差が出ます。
買い切りプランも用意されています。500GBが56,800円、2TBが116,800円、6TBが196,800円の一回払いで、いずれも「従量課金なし」と記載されています。ただし買い切りプランはSLAの対象外である点がSLA第1条に明記されています。
容量課金について、公式内の記載が3か所で食い違っている
この記事で最も注意して読んでほしい部分です。同じ「保管容量」について、公式サイト内の3か所が別のことを書いています。
① 料金ページ :プレミアム・ビジネス・エンタープライズのすべてに「保管容量 500GB ごとに 1,500円の従量課金」と付記。
② 公式FAQ :「プレミアム・ビジネスプランでは月間アップロード数・保管容量ともに無制限でご利用いただけます」。
③ 法人向け説明資料(2026年3月時点) :「容量無制限/容量・アップロード・ダウンロードへの追加課金なし」。ただし「5,000ファイル超は従量課金、1,000ファイルごとに200円」と別の従量課金が書かれています。
③の資料が2026年3月時点、①が現在の料金ページであることから、課金モデルが「ファイル数の従量課金」から「容量の従量課金」へ変更された可能性があります。ただし②のFAQは現在も「無制限」のままです。実際にいくらかかるかは、契約前に最新のプランページと見積もりで必ず確認してください。 当社としても、どちらが現行かを公開情報だけで断定することはできませんでした。
なお、税込か税抜かの表記は、今回確認した料金ページ・特定商取引法ページ・法人向け説明資料のいずれにも見当たりませんでした。支払い方法はクレジットカード・銀行振込・コンビニ決済。7日間のフリートライアルがあり、期間中の解約なら料金は発生しませんが、2回目以降のトライアルは適用されません。またトライアル後に解約した場合や支払いに失敗した場合、アカウントに保存された全ファイルが削除されると明記されています。
HStorageの安全性|暗号化・ウイルスチェック・第三者認証をどこまで確認できるか
HStorageはセキュリティを前面に出しているサービスなので、ここは丁寧に見ます。公式が挙げている対策と、その範囲を分けて整理します。
暗号化は「顧客の鍵」方式。ただし範囲の確認が必要
HStorageの暗号化機能は、一般的なサーバー側暗号化とは考え方が違います。公式FAQには「お客様自身の鍵でファイルを暗号化します。アップロード・ダウンロードの際に鍵を一時的に使用し、処理後は即座に破棄されます。鍵の持ち主は常にお客様だけであり、万が一ファイルが流出しても暗号化されているため復元できません」と書かれています。復号キーを持たない限り運営側でも中身を戻せない構成、という説明です。
これはパスワード保護とは別機能で、公式も明確に使い分けを示しています。パスワード保護はファイル自体は素の状態で保存し、ダウンロード時にパスワードを要求するもの。暗号化機能はファイル本体を暗号化して保存するもの。法人向け資料では、前者を「営業資料や日常のやり取り向け」、後者を「法務・財務・機密設計図向け」と説明しています。用途に応じて使い分けられるのは実務的です。
ただし、この暗号化機能がどのプランで使えるかは記載が割れています。料金ページのフリープラン欄には「暗号化アップロード」に✓が付いていますが、SLAページの記載は「HStorage独自のファイル暗号化機能(Premiumプラン以上)」となっています。無料プランで使うつもりなら、事前に確認したほうが確実です。
ウイルスチェックの対象範囲は「25.6MB以下」と書かれている
ここも公式内で記載が異なります。セキュリティページとトップページは「アップロードされるすべてのファイルに対してリアルタイムでウイルスチェックが行われます」と書いています。一方、SLAページの記載はこうです。
「対象となる暗号化されていない 25.6MB以下 のアップロードファイルに対してウイルススキャンを実施します。マルウェアが検知された場合は、ダウンロード時に警告を表示します」。
より具体的な条件を書いているSLAページの方が実態に近い、と読むことはできます。ただし公開情報から確定できるのは「公式の記載が割れている」ところまでで、25.6MBを超えるファイルが常にスキャン対象外だと断定はできません。大きな動画や圧縮ファイルを送る前提なら、スキャン対象に入るかどうかを事前に問い合わせて確認したほうが確実です。 もっとも、これはHStorageに限った話ではありません。ファイル転送サービスの多くは、処理時間の関係でスキャン対象にサイズ上限を設けています。当社の場合はスキャン対象を500MB以下(動画と音声は対象外)としており、この点では当社の方が広い範囲をカバーしています。
第三者認証は「自社の取得」と「基盤事業者の取得」を分けて読む
HStorageのセキュリティページには「取得済み準拠」というセクションがあり、ここは公式自身が正確に書き分けています。整理するとこうなります。
HStorageが公開している認証・準拠の主体(2026年8月28日時点の公式セキュリティページ)
主体
公式が挙げている認証
読み方
HStorage(合同会社HCloud)
PCI DSS v4.0 SAQ
SAQは自己問診票。カード情報を扱う事業者向けの基準で、情報セキュリティ全般の第三者認証ではない
Auth0(ユーザー管理基盤)
PCI DSS/CSA STAR ゴールド/HIPAA BAA/ISO27018/SOC 2 Type II/ISO27001
認証を持っているのはAuth0であり、HStorage自身の認証ではない
Stripe(決済基盤)
PCI DSS/SOC 3
同じく決済基盤側の認証
この書き分け自体は公式が正しく行っています。ただし公式FAQの別の箇所には「SOC2およびISMS(ISO27001)に準拠したセキュリティ管理体制を整えています」という記述があり、ここは主語が省略されているため、HStorage自身が取得していると読まれる可能性があります。「準拠」と「認証取得」は別物です。 実際にどうかを確かめるため、当社で国内の公的登録簿を照合しました。
公的登録簿での照合結果(2026年8月28日実施)
ISMS(ISO/IEC 27001)登録組織検索 、ISMSクラウドセキュリティ(ISO/IEC 27017)登録組織検索 、プライバシーマーク付与事業者検索 の3つで、「HCloud」「HCloud」(全角)「エイチクラウド」の各表記を検索しましたが、いずれも該当ありませんでした。登録範囲(ScopeName)を「HStorage」「エイチストレージ」で検索しても該当はありません。検索手法が正しく動いていることは、同じ方法で他社(ISMSは「ソフトバンク」24件、ISO27017は「さくらインターネット」14件、プライバシーマークは当社「グッドヒルシステムズ」1件)がヒットすることで確認済みです。
ただし「登録簿に無い=未取得」と断定はできません。 この登録簿にはISMS-AC認定の審査機関で取得した認証しか掲載されないため、海外認定機関(UKAS等)で取得している場合は載りません。またISO/IEC 27701(PIMS)は検索フォームが公開されておらず、今回は照合できませんでした。「国内の主要な登録簿では確認できなかった」というのが正確な結論です。要件に含まれる場合は、直接問い合わせて登録番号と適用範囲を確認してください。
FISC安全対策基準の自己評価を公開している点は評価できる
HStorageは、金融機関向けの業界標準であるFISC安全対策基準(金融情報システムセンターが策定)を参照し、全60項目・9区分に対する対応状況を自己評価して公開しています(最終更新2026年7月)。区分は情報・セキュリティ管理態勢10項目、外部委託管理3項目、コンピュータ設備管理3項目、システム開発・運用管理14項目など。対応状況一覧はExcelでダウンロードできます。
特筆すべきは、このページに自ら書かれている注記です。「FISC安全対策基準は認証制度ではありません。本ページおよび対応状況一覧は、HStorageが同基準を参照して自己評価した対応状況を公開するものであり、FISCまたはいかなる第三者機関による認証や準拠の保証を意味するものではありません」。同様に、ビジネスプランのタイムスタンプ証跡についても「HStorage独自のタイムスタンプ証跡であり、認定時刻認証業務に係るタイムスタンプではありません」、WORM保存についても「保存方式の説明であり、法令適合や第三者認証を保証するものではありません」と明記しています。FISC自己評価・タイムスタンプ証跡・WORM保存というこの3点について、自ら「認証ではない」「認定サービスではない」「法令適合を保証しない」と限界を書き添えている点は、競合の目で見ても評価できます。
その他の対策と、SLAの水準
公式が挙げている対策には、株式会社tres-eによる第三者脆弱性診断の定期実施、ランサムウェア対策としてFTP/SFTP経由での上書き・リネームを禁止した非上書き構成、ユーザー情報をAuth0・カード情報をStripeに委託して自社サーバーに保存しない設計、TLSによる通信暗号化と保管時暗号化、Passkey認証対応などがあります。データ耐久性は11ナイン(99.999999999%)を設計目標としています。
一方でSLAの水準は正直に見ておくべきです。保証されている月間稼働率は99% で、これは30日の月なら約7.2時間の停止に相当します(実際の分母からは計画メンテナンス時間が除かれるため、月の日数とメンテナンス時間によって変わります)。一般的な法人向けSaaSが99.9%(月約43分)を掲げることが多いことを考えると、緩めの水準です。補償内容も当該月の利用料の10%を上限としたサービスクレジット(翌月以降の利用料への充当)で、現金返金ではありません。請求は稼働率が下回った月の翌月末までにユーザー側から行う必要があります。そして無料プランと買い切りプランはSLAの対象外です。
ただしSLAを条文の形で公開していること自体は、当社を含む多くのファイル転送サービスが行っていない 点です。水準が99%であることと、その内容を明文化していることは分けて評価すべきだと考えます。
データの保管場所についての記載
データ保管場所は日本国内と繰り返し説明されています。ここでも記載の粒度に差があります。法人向け説明資料は「自社データセンターを基盤に」「東京のデータセンターで全データを管理」と書いていますが、コンプライアンスページの外部委託管理の項には「国内データセンター(Wasabi 日本リージョン )を利用し、複数のデータセンターで冗長化しています」と明記されています。Wasabiは米国のクラウドストレージ事業者で、その日本リージョンを利用しているという意味です。データの物理的な所在が日本国内であることと、基盤を提供する事業者が海外企業であることは両立します。海外事業者の関与を避けたい要件がある場合は、この点を確認してください。同ページにはCloudflareの利用も記載されています。
HStorageの使い方とダウンロード方法
送る側の流れはシンプルです。メールアドレスまたはSNSアカウントでアカウントを作成し(クレジットカード登録は不要)、ダッシュボードからファイルをアップロード。共有リンクを発行して相手に渡します。アップロード時にパスワード、ダウンロード回数の上限、有効期限(日時指定の自動削除)を設定でき、回数の上限に達したファイルは自動的に削除されます。
受け取る側はアカウント登録が不要です。 共有リンクを開いてダウンロードするだけで、HStorageのアカウントは要りません。法人向け資料でも取引先とのファイル交換のユースケースとして「メール添付できないファイルを、ユーザー登録なしで安全に共有できる」と説明されています。パスワードが設定されている場合は、送信者から別経路で受け取ったパスワードを入力します。
ダウンロードできないときに確認する点を挙げます。①有効期限が切れていないか (送信者が日時指定削除を設定していると期限後にファイルが消えます)、②ダウンロード回数の上限に達していないか (上限到達で自動削除される仕様です)、③暗号化機能が使われていないか (この場合は復号キーの入力が必要で、パスワードとは別物です)、④共有リンクと直リンクを取り違えていないか 。公式FAQによれば、共有リンクはファイル共有用、直リンクはサイトへの埋め込みやアプリケーション組み込み用で用途が分かれています。無料プランのファイルは容量確保のため古い順に削除される可能性がある点も、時間が経ってからのダウンロードでは考慮に入れてください。
技術者向けの接続手段も充実しています。ビジネスプランまたは買い切りプランではFTP/SFTP/WebDAVでの接続に対応し、既存のFTPクライアントやrcloneのスクリプトがそのまま使えます。REST APIは無料プランを含む全ユーザーに開放されており、hcliというCLIツールはMCP(Model Context Protocol)サーバーとして登録することでClaude CodeやCursorなどのAIエージェントから操作できます。WordPress用の公式プラグインでメディアファイルをクラウドへオフロードすることも可能です。この開発者向けの手厚さは、当社が持っていない強みです。
なおAPIのレート制限も、料金ページとFAQで数値が異なります。料金ページはフリー5・プレミアム30・ビジネス60(いずれもリクエスト/分)、FAQはフリー5・プレミアム60・ビジネス100と書いています。API前提で組む場合は、実際の上限を問い合わせで確認したほうが安全です。
HStorageが向いている会社・向かない会社
ここまでの内容を踏まえて、用途別に整理します。当社のサービスとの比較も含めて、隠さず並べます。
HStorageとギガワタスの比較(2026年8月28日時点)
比較項目
HStorage
ギガワタス
サービスの性格
保管型クラウドストレージ+共有機能
転送特化(送って受け取ってもらう用途)
1回の送信容量
最大100GB
1ファイル最大333GB
無料での保管
保管容量100GB。ただし容量確保のため古い順に削除される可能性があると公式が記載
保管サービスではない(最長111日で削除)
送信側の登録
アカウント作成が必要
登録不要でその場で送れる
無料の回数制限
直近30日で20ファイルまで
回数制限なし
ウイルススキャン
公式内で記載が割れる(トップ・セキュリティページは「すべてのファイル」、SLAページは「暗号化なし25.6MB以下」)
500MB以下が対象(動画・音声は対象外)。登録不要でも動作
SFTP・WebDAV・API
APIは無料プランも利用可。FTP・SFTP・WebDAVはビジネスまたは買い切りプラン
非対応
SSO・LDAP連携
対応(SAML/OIDC/Azure AD/LDAP等。ビジネスプラン以上)
非対応
法人プラン
ビジネス月払い2,480円/人(年払い1,984円/人)
for Biz 月550円/人・1人から
第三者認証
公式が自社について挙げるのはPCI DSS v4.0 SAQ(自己評価質問票)。ISMS・Pマークは国内登録簿で確認できず
プライバシーマーク(10800077-02)。ISO/IEC 27001・27017・27701は未取得
SLA
稼働率99%を条文で公開(対象はプレミアム・ビジネスのみ)
SLAの公開なし
比較データの最終確認日:2026年8月28日。HStorage側の数値は公式サイト・利用規約・SLA・法人向け説明資料の記載に基づきます。仕様は変更される場合があるため、契約前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
HStorageが向いているのは、ファイルを「置き場所として」持ち続けたい会社です。 制作会社やクリエイターのように大きな素材を継続保管し、SFTPやrcloneで自動バックアップを回し、必要なときに共有リンクで納品する——という運用にはよく合います。開発者がAPIやCLIで既存ワークフローに組み込みたい場合、SSOで全社アカウントを統合したい場合も同様です。無料で100GBの枠を使えるので、まず個人で試してから社内に広げるという進め方もできます(無料のままで長期保管を任せきりにはしない、という前提は必要です)。
向かないのは、単発で大きなファイルを1回だけ送りたい人です。 アカウント作成が必要で、無料プランには30日20ファイルの上限があります。「今すぐ1本だけ動画を送りたい」という用途には手数が多く、1回100GBの上限もあります。また、ISMSやプライバシーマークの取得を取引先から要件として求められている場合は、現時点で国内登録簿から確認できないため、調達要件を満たせない可能性があります。
当社の弱点も書いておきます。ギガワタスは保管型のサービスではないので、ファイルを長期間置いておく用途には使えません(最長111日で削除されます)。 SFTP・WebDAV・APIにも対応しておらず、SSO連携もありません。ISO/IEC 27001は未取得で、SLAも公開していません。継続保管・技術連携・SSOが要件なら、HStorageの方が適しています。 逆に、登録せずにその場で大きなファイルを送りたい、1ファイル333GBまで扱いたい、ウイルススキャンを登録不要の状態でも動かしたい、法人でも1人あたり550円で始めたい——という要件なら当社をご検討ください。登録不要で使えるファイル転送サービス や大容量ファイル転送サービスの比較 もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. HStorageは無料でどこまで使えますか?
無料(フリー)プランでは保管容量100GBまで使え、1回のアップロードは最大100GBに対応します。ただし直近30日間で20ファイルまでというアップロード数の制限があり、グループ管理は1つまでです。APIも利用できますが、レート制限は5リクエスト/分です。共有ページには広告が表示され、非表示にできるのはビジネスプラン以上です。またSLA(稼働率99%保証)の対象外で、サーバー容量確保のため古いファイルから削除される可能性があると公式FAQに記載されています。無料プランでも商用利用は可能と公式は明記しています。
Q. HStorageの料金はいくらですか?
料金ページの表示は、プレミアムが年額の月額換算1,391円、ビジネスが同1,984円、エンタープライズが月額9,800円です。ただし法人向け説明資料の価格表では、ビジネスプランは10ユーザー以下で月払い2,480円/人・月、年払い1,984円/人・月とされており、表示されている数字は年払い時の月額換算です。10ユーザー以上で10%オフ、100ユーザー以上で20%オフ、1,000ユーザー以上で30%オフの段階割引があります。買い切りプランは500GBが56,800円、2TBが116,800円、6TBが196,800円の一回払いです。税込・税抜の表記は今回確認した範囲では見当たりませんでした。支払い方法はクレジットカード・銀行振込・コンビニ決済で、7日間のフリートライアルがあります(2回目以降は適用されません)。
Q. HStorageの保管容量は本当に無制限ですか?
公式サイト内で記載が食い違っています。料金ページには有料プラン全てに「保管容量500GBごとに1,500円の従量課金」と付記されている一方、公式FAQは「プレミアム・ビジネスプランでは月間アップロード数・保管容量ともに無制限」と書いています。さらに2026年3月時点の法人向け説明資料は「容量無制限・容量に対する課金なし」としたうえで「5,000ファイル超は1,000ファイルごとに200円」という別の従量課金を記載しています。課金モデルがファイル数従量から容量従量へ変更された可能性がありますが、公開情報だけでは断定できません。契約前に最新のプランページと見積もりで確認してください。
Q. HStorageは安全ですか?ウイルスチェックはありますか?
ウイルスチェックはありますが、対象範囲の記載が公式内で異なります。セキュリティページとトップページは「すべてのファイル」に対して実施すると書いている一方、SLAページには「対象となる暗号化されていない25.6MB以下のアップロードファイルに対してウイルススキャンを実施します」と条件付きで書かれています。検知された場合はダウンロード時に警告が表示されます。このほか、顧客の鍵によるファイル本体の暗号化、TLSによる通信暗号化と保管時暗号化、株式会社tres-eによる定期的な第三者脆弱性診断、FTP/SFTPでの上書き・リネームを禁止したランサムウェア対策、Auth0・Stripeへのユーザー情報とカード情報の委託などが公開されています。利用規約には「管理者は、法令などにより情報の開示を求められる場合以外、アップロードされたファイルを閲覧、検閲してはならない」と明記され、公式FAQではファイルサーバーへのアクセス権限を持つのは代表社員のみと説明されています。
Q. HStorageはISMSやプライバシーマークを取得していますか?
2026年8月28日に当社が国内の公的登録簿を照合した範囲では、確認できませんでした。ISMS(ISO/IEC 27001)登録組織検索、ISMSクラウドセキュリティ(ISO/IEC 27017)登録組織検索、プライバシーマーク付与事業者検索の3つで「HCloud」「HCloud」(全角)「エイチクラウド」を検索し、いずれも該当がありませんでした。登録範囲を「HStorage」で検索しても該当はありません。ただしこれらの登録簿にはISMS-AC認定の審査機関で取得した認証しか掲載されないため、未取得と断定はできません。ISO/IEC 27701(PIMS)は検索フォームが公開されておらず今回は照合できませんでした。公式サイトが自社について挙げているのはPCI DSS v4.0 SAQで、これはカード情報を扱う事業者向けの自己評価質問票であり第三者認証ではありません。セキュリティページに並ぶISO27001やSOC 2 Type IIはユーザー管理基盤であるAuth0が取得しているものです(公式サイトもこの点は主体を分けて記載しています)。要件に含まれる場合は直接問い合わせて登録番号と適用範囲を確認してください。
Q. HStorageでダウンロードできないときは何を確認すればいいですか?
まず有効期限を確認してください。送信者が日時指定の自動削除を設定している場合、期限を過ぎるとファイルは削除されます。次にダウンロード回数の上限です。上限が設定されていて到達した場合、ファイルは自動的に削除される仕様です。パスワードを求められる場合と復号キーを求められる場合があり、暗号化機能が使われているときは送信者から復号キーを受け取る必要があります(パスワード保護とは別機能です)。また共有リンクと直リンクは用途が分かれているため、渡されたURLの種類も確認してください。無料プランのファイルは容量確保のため古い順に削除される可能性があると公式が記載しているので、時間が経っている場合は送信者に再送を依頼するのが確実です。
Q. HStorageとギガワタスはどちらを選ぶべきですか?
ファイルを置き場所として持ち続けたいならHStorage、単発で大きなファイルを送りたいなら当社です。HStorageは無料でも100GBの保管容量を使え(ただし容量確保のため古い順に削除される可能性があると公式が記載しています)、FTP・SFTP・WebDAV・REST API・CLIに対応し、SAMLやAzure ADなどのSSO連携も可能で、プレミアム・ビジネスプランを対象に稼働率99%のSLAを条文で公開しています。FTP・SFTP・WebDAVとSSO連携はビジネスプランまたは買い切りプランが対象です。当社はこれらをいずれも持っていません。一方で当社は登録不要でその場から1ファイル333GBまで無料で送れ、送信回数の制限もなく、ウイルススキャンは登録不要の状態でも動きます(500MB以下・動画と音声は対象外)。ギガワタス for Bizは1人あたり月550円・1人から契約でき、30日間はクレジットカード登録なしで試せます。第三者認証は、当社がプライバシーマーク(10800077-02)を保有していますが、ISO/IEC 27001・27017・27701は未取得です。
まとめ
HStorage(エイチストレージ)は、公式が「国内最大級」と位置づける100GBの無料枠と、FTP・SFTP・WebDAV・API・CLIという技術者向けの接続手段を両立させた、日本発のクラウドストレージです。データは国内のデータセンターに保管され、SLAを条文の形で公開し、FISC安全対策基準60項目の自己評価も「これは認証ではない」と自ら断ったうえで公開しています。FISC自己評価・タイムスタンプ証跡・WORM保存の3点について、自ら「認証ではない」「保証しない」と限界を書き添えている点は、競合として率直に評価できます。
検討時に確認すべき点は3つです。①無料プランは容量100GBでも直近30日で20ファイルまでという上限があること。②保管容量の課金について料金ページ・FAQ・法人向け資料の3か所で記載が食い違っており、実費は見積もりで確認する必要があること。③ISMSやプライバシーマークといった国内の第三者認証は、公的登録簿では確認できなかったこと(ただし登録簿の性質上、未取得と断定はできません)。 いずれも公式が公開している情報から読み取れる範囲の話で、取引先の調達要件に照らして問題にならないかを先に確かめておくと安全です。
ファイルを継続的に置いておきたい、既存のワークフローにAPIやSFTPで組み込みたい、社内アカウントをSSOで統合したい——という要件ならHStorageは有力な選択肢です。逆に、登録せずに今すぐ大きなファイルを1本送りたい、1ファイル333GBまで扱いたい、法人でも1人月550円から始めたいという場合は、当社のギガワタスもご検討ください。無料で使えるファイル転送サービスの比較 や法人向けファイル共有の選び方 もあわせてどうぞ。