最終更新日: 2026年6月24日
結論から言うと、人事・労務のファイル共有は「個人情報のかたまり」を扱うため、メール添付やPPAP(パスワード付きZIP)では不十分です。履歴書・給与データ・健康診断結果、とりわけマイナンバー(特定個人情報)は、個人情報保護法や番号法で厳格な管理が求められます。必要なのは、①暗号化、②送り先を限定するアクセス制御、③いつ誰に送ったかの記録、そして④誤送信を防ぐ仕組みです。
※ この記事は大容量ファイル転送サービス「ギガワタス」の運営ブログです。人事・労務に求められる要件を先に示し、送信方法を中立に比較したうえで、自社サービスのデメリットも明記しています。
人事・労務のファイル共有が抱える3つのリスク
人事・労務ならではの難しさ
- 個人情報のかたまり:応募者の履歴書・職務経歴書、従業員の給与・源泉徴収、健康診断等の結果(要配慮個人情報)など、機微な情報を日常的に扱います。
- マイナンバーは特に厳格:マイナンバー(特定個人情報)は番号法の対象で、通常の個人情報より厳しい安全管理措置が事業者に義務づけられています。
- 社外の送付先が多い:社労士・税理士・健康保険組合・年金事務所・内定者・退職者など、社外とのやり取りが多く、宛先間違い(誤送信)が起きやすい業務です。
給与データや履歴書の誤送信は、情報漏えい事故の典型例です。漏えいの原因と防ぎ方は「ファイル転送で情報漏洩が起きる5つの原因」でも解説しています。
人事データを安全に送るために必要なこと
人事・労務の受け渡しで押さえるべきは、次の4点です。
- 暗号化:通信路と保存時の両方を暗号化し、盗み見られても中身が読めない状態にする。
- アクセス制御:送り先を限定し、ダウンロード期限・回数を絞る。誰でも開けるパスワード付きZIPは避ける。
- 記録:いつ誰に送り、相手がいつ受け取ったかを残す。事故時の追跡にも、社内の安全管理措置の証明にも役立つ。
- 誤送信の防止:宛先間違いを送信前後に止められる仕組み(承認・送信取消)を用意する。
マイナンバーを扱うときの注意
マイナンバー(特定個人情報)は、個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」で、組織的・人的・物理的・技術的な安全管理措置が求められています。安全管理措置には、アクセス制御、通信経路・保存データの暗号化、利用状況やアクセスログ等の記録・点検などが含まれ、ファイル送信の方法もこの観点で選ぶ必要があります(最新の要件はガイドライン本文をご確認ください)。
人事データを送る方法の比較
人事・労務データを社外へ渡す主な方法を、実務目線で比較します。
人事・労務データの受け渡し方法の比較
| 方法 |
暗号化・記録 |
誤送信対策 |
人事・労務での向き |
クラウド型ファイル転送 DLリンクを通知 |
○ 通信+保存時暗号化・送受信記録 |
○ 期限・回数制限、承認・取消対応のものも |
社労士・税理士などへの定期的な受け渡しに向く |
暗号化メール(S/MIME等) 本文・添付を暗号化 |
○ 証明書・PKIで暗号化/署名 |
△ 宛先間違いは防ぎにくい |
少量の機密メールを相手と完結したい場合 |
PPAP(パスワード付きZIP) メール添付+別送PW |
△ ZIP自体は暗号化されるが、同じ経路でPWを送る運用では盗聴に弱く受領記録も残りにくい |
× 宛先間違いに気づけない |
非推奨。同一経路でのPW別送・受領記録の不足・誤送信制御の弱さが課題 |
| 紙・郵送 |
△ デジタルな記録は残らない |
△ 誤配・紛失リスク |
原本が必要な手続きに限定される |
比較は2026年6月時点の一般的な傾向です。脱PPAPの選び方は「脱PPAPソリューション比較」を参照してください。
多くの人事・労務の現場で現実的なのは、暗号化と記録ができ、誤送信対策も備えたクラウド型ファイル転送です。社労士・税理士といった士業とのやり取りの注意点は「士業のファイル転送」もあわせて参考になります。
ギガワタス for Biz の人事・労務での使いどころ
当社が運営する「ギガワタス」も、クラウド型ファイル転送の一つです。法人向けのギガワタス for Bizが、人事・労務の課題にどう応えるかを整理します。
ギガワタス for Biz の人事・労務での主な活用機能
| 課題 |
for Biz の対応 |
| 個人情報・マイナンバーの保護 |
通信SSL/TLS+保存時AES-256暗号化、ダウンロードパスワード、プライバシーマーク取得済み |
| 送り先の限定 |
受取人の本人確認、ダウンロード回数・保存期間の上限、宛先ドメインのホワイトリスト、IP制限(組織ポリシーで一括強制) |
| いつ誰に送ったかの記録 |
送信履歴・操作ログを記録し1年間保管。CSVで出力でき、安全管理措置の記録や監査に使える |
| 誤送信の防止 |
送信前の上長承認フローと、送信後10分間の送信取消で、宛先間違いを未然に防ぐ |
人事・労務でとくに事故が多いのが「誤送信」です。給与一覧や応募者情報を別の相手に送ってしまえば、重大な漏えいになります。for Bizでは、送信前の上長承認と送信後10分間の取り消しを標準で用意し、人的ミスによる漏えいのリスクを抑えやすくします。
「いつ誰に送ったか」の記録をCSVでまとめて出力でき、安全管理措置の記録や監査に活用しやすい
料金は1人 月550円(税込・年額5,500円)、初期費用0円・1名から、カード登録不要の30日間無料トライアルで試せます。
正直なデメリット(for Biz が向かない場合)
- 人事・給与システムとの連携機能はありません。勤怠・給与計算との自動連携が必要なら、人事システム側の機能や専用サービスが適します。for Bizは安全な「受け渡し」に特化しています。
- ISMAP(政府情報システムのクラウド登録制度)には未登録です(2026年6月時点・当社確認)。官公庁案件で登録クラウドを必須とする要件には現時点で適合しません。
【シーン別】人事・労務でのファイル受け渡しの使い分け
人事・労務のシーン別 おすすめの送信方法
| こんなとき |
おすすめ |
理由 |
| 社労士・税理士へ給与データを送る |
クラウド型ファイル転送 |
暗号化・記録が残り、期限・回数も制御できる |
| 内定者・退職者と書類をやり取りする |
クラウド型ファイル転送(受取フォルダ) |
相手は登録不要で提出でき、受領を記録できる |
| マイナンバーを含む書類を渡す |
暗号化+アクセス制御+記録のそろった方法 |
番号法の安全管理措置に沿った取り扱いが必要 |
| 誤送信を仕組みで防ぎたい |
承認フロー・送信取消つきサービス |
宛先間違いを送信前後に止められる |
製品選定の比較軸は「法人向けファイル共有サービスの選び方」で、機密データ全般の扱いは「機密ファイルの安全な送り方」で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. マイナンバーをメールで送ってもよいですか?
推奨されません。マイナンバー(特定個人情報)は番号法で厳格な安全管理措置が求められ、通常のメール添付やパスワード付きZIPでは暗号化・アクセス制御・記録の点で不十分です。暗号化と送受信記録が残り、送り先を限定できる方法を使い、社内の取扱規程に沿って運用してください。
Q. 社労士や税理士への定期的な給与データ送付に向く方法は?
クラウド型ファイル転送が向きます。暗号化され、いつ誰に送ったかが記録に残り、ダウンロード期限・回数も制御できます。相手はアカウント登録なしで受け取れるものが多く、毎月のやり取りもスムーズです。
Q. 給与データの誤送信が心配です。防ぐ方法は?
送信前に上長の承認を必須にする、送信後一定時間は取り消せるようにする、宛先ドメインを制限する、といった仕組みで人的ミスを抑えられます。ギガワタス for Bizでは上長承認・10分間の送信取消・宛先ドメイン制限に対応しています。
Q. 応募者から履歴書を受け取る安全な方法は?
受取フォルダ機能が便利です。提出用のリンクを渡せば、応募者はアカウント登録なしで書類をアップロードでき、こちらは受領を記録しつつ1か所に集約できます。メール添付より情報の扱いを管理しやすくなります。
まとめ
人事・労務のファイル共有は、機微な個人情報の保護と誤送信の防止を両立させる必要があります。とくにマイナンバーは番号法で厳格な管理が求められ、メール添付やPPAPでは不十分です。
- 社労士・税理士への送付は暗号化・記録のあるクラウド型ファイル転送
- マイナンバーは暗号化+アクセス制御+記録のそろった方法で
- 誤送信は承認フロー・送信取消で仕組みから防ぐ
まずは社外への給与データ送付や応募書類の受け取りから、暗号化・記録のできる方法に切り替えるのが現実的な第一歩です。無料から試せるサービスで、自社の運用に合うか確かめてみてください。
この記事の情報は2026年6月時点のものです。法令・ガイドラインや各サービスの仕様は変更される場合があります。マイナンバー・個人情報の取り扱いに関する最新の要件は個人情報保護委員会の情報を、各サービスの仕様は公式サイトをご確認ください。個別の適合判断は自社の規程・専門家の助言に従ってください。