最終更新日: 2026年4月30日
結論から言うと、個人情報や契約情報を含まない社内資料を一時的に送る程度なら問題ありません。ただし、取引先への機密データ送信や、顧客情報を含むファイルのやり取りには5つのリスクがあります。
この記事では、ファイル転送サービス「ギガワタス」を運営するプライバシーマーク取得企業の代表として、同業の視点からギガファイル便の法人利用リスクを正直に解説します。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp)の運営ブログです。同業サービスとして事実に基づいて解説しています。
ギガファイル便を会社で使うときの5つのリスク
ギガファイル便は個人利用には十分なサービスです。しかし法人が業務で使う場合、以下の5つが問題になります。
| リスク | 影響度 | 内容 |
|---|---|---|
| URLが漏れれば誰でもDL可能 | 高 | パスワードなしだとURLだけでダウンロードできる |
| ログ管理機能がない | 高 | 誰がいつダウンロードしたか追跡できない |
| プライバシーマーク未取得 | 中 | 個人情報保護の第三者認証がない |
| 広告の誤クリック・不適切広告 | 中 | 業務中に不適切な広告が表示される可能性 |
| 法人向けのSLA・サポートがない | 中 | 障害時の対応保証や契約がない |
それぞれ詳しく解説します。
リスク①: URLが漏れれば誰でもダウンロードできる
ギガファイル便のダウンロードURLは、知っている人なら誰でもアクセスできます。パスワードを設定しなければ、URLが第三者に渡った時点でファイルは流出します。
メールの誤送信、チャットの誤爆、ブラウザ履歴の共有。URLが漏れる経路は意外と多くあります。業務ファイルがURLひとつで全世界に公開される状態は、法人利用としてはリスクが高いです。
パスワード設定は可能ですが、4桁の数字のみです。総当たり攻撃への耐性は高くありません。
リスク②: ログ管理機能がない
ギガファイル便には「誰がいつダウンロードしたか」を確認する機能がありません。ダウンロード通知は届きますが、ダウンロードした人のIPアドレスや詳細な履歴は追えません。
これが問題になるのは、情報漏洩が発覚した後です。「いつ、誰が、何回ダウンロードしたか」が分からなければ、被害範囲の特定も、原因の調査もできません。
プライバシーマーク取得企業の代表として断言しますが、ログがないファイル転送は「事故が起きたときに何もできない」のと同じです。
リスク③: プライバシーマーク未取得
ギガファイル便はプライバシーマークを取得していません。プライバシーマークは、個人情報の取り扱いが適切であることを第三者が認証する制度です。
取引先が「プライバシーマーク取得企業のサービスを使ってください」と指定するケースは増えています。特に大手企業や官公庁との取引では、未取得のサービスは選択肢から外されることがあります。
リスク④: 広告の誤クリック・不適切広告
ギガファイル便は広告収入で運営されています。ダウンロードボタンの近くに広告バナーが表示されるため、操作を間違えやすい構造です。
実際に、広告バナーとダウンロードボタンが近い位置にあるため操作を間違えた、という理由でギガワタスに乗り換えたユーザーもいます。また、無料ファイル転送サービスでは広告の内容をサービス側が完全にコントロールできないため、業務にふさわしくない広告が表示される可能性があります。
リスク⑤: 法人向けのSLA・サポートがない
ギガファイル便の無料プランには、サービスレベル保証(SLA)がありません。サーバーダウンでファイルが送れなくなっても、復旧の保証はありません。
納期の迫った業務でファイルが送れない。こうした事態が起きても、無料プランでは個別対応を期待しにくいのが実情です。業務の重要なプロセスを無料サービスに依存するのは、ビジネスリスクです。
実際に会社で禁止されるケース
2019年1月、大手ファイル転送サービス「宅ふぁいる便」で約480万件の個人情報が漏洩する事故が発生しました(ITmedia報道)。宅ふぁいる便はその後2020年3月にサービスを終了しています。この事件をきっかけに、無料ファイル転送サービスの利用を禁止する企業が急増しました。
現在、特に以下の業界では無料ファイル転送サービスの利用が制限されています。
- 金融・保険 — 監督官庁の指導によりデータ管理が厳格
- 医療・製薬 — 患者情報の取り扱いに厳しい規制
- 官公庁・自治体 — プライバシーマーク取得サービスの利用を推奨
- 大手企業全般 — 情シス部門がホワイトリスト方式でサービスを制限
情シス部門が無料ファイル転送サービスを禁止する際、判断基準にするのは主にこの3つです。
- 暗号化方式 — SSL/TLSだけか、ファイル自体も暗号化(AES-256等)するか
- ログ管理 — ダウンロード履歴が追えるか
- 第三者認証 — プライバシーマークやISMS認証を取得しているか
ギガファイル便はこの3つすべてに該当するため、情シス部門の審査で「利用不可」と判断されるケースがあります。
それでもギガファイル便を使うなら — 最低限やるべき3つの対策
「社内ルール的にギガファイル便しか選択肢がない」「予算がつかない」という場合もあるでしょう。その場合、最低限この3つを徹底してください。
対策①: パスワードを必ず設定する
ギガファイル便はパスワードなしでもファイルを送れますが、業務利用なら必ず設定しましょう。パスワードはダウンロードURLとは別の手段(電話、別のメール等)で伝えるのが鉄則です。
ただし前述の通り、ギガファイル便のパスワードは4桁の数字のみです。セキュリティとしては最低限のレベルであることは認識しておいてください。
対策②: 保存期間を最短にする
ギガファイル便は3日〜100日の保存期間を選べます。業務ファイルは保存期間を最短の3日に設定し、相手がダウンロードしたら速やかに削除しましょう。
ファイルがサーバーに存在する期間が長いほど、漏洩リスクは高まります。
対策③: 削除キーを控えておく
アップロード時に発行される削除キーを必ずメモしてください。相手のダウンロード完了後にファイルを手動で削除すれば、リスクを最小限に抑えられます。
ただし、これらはあくまで「リスクを減らす」対策です。ログ管理ができない、暗号化がSSLだけ、プライバシーマーク未取得という根本的な課題は残ります。
法人なら知っておきたいファイル転送サービスの選び方
「無料のファイル転送サービスは全部ダメなのか?」というと、そうではありません。無料でもセキュリティ機能が充実したサービスは存在します。
以下は、ギガファイル便とギガワタス(無料会員)の機能を比較した表です。
| 比較項目 | ギガファイル便 | ギガワタス(無料会員) |
|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 無料(メールアドレス登録のみ) |
| 最大送信容量 | 300GB | 333GB |
| 暗号化方式 | SSL/TLS(通信のみ) | AES-256 + SSL/TLS(通信+ファイル自体) |
| ウイルススキャン | ○ あり | ○ あり |
| ダウンロード履歴 | ✕ なし | ○ あり(詳細履歴) |
| IPアドレス制限 | ✕ なし | ○ あり |
| プライバシーマーク | ✕ 未取得 | ○ 取得済み |
| 広告 | 多い | 少ない |
※ 2026年4月30日時点の情報です。最新の機能・料金は各公式サイトでご確認ください。
ポイントは、ギガワタスの無料会員はメールアドレスの登録だけで全機能が使えることです。AES-256暗号化、ウイルススキャン、IPアドレス制限、ダウンロード履歴まで、追加料金なしで利用できます。
ただし、正直に書くとギガワタスにもデメリットはあります。
- 会員登録が必要 — ギガファイル便は登録不要で使えるが、ギガワタスの全機能を使うにはメールアドレスでの無料会員登録が必要
- 知名度が低い — ギガファイル便に比べると圧倒的に知名度が低く、受取側が「知らないサービスだけど大丈夫?」と不安を感じる可能性がある
それでもセキュリティ機能の差は大きいです。当社でも以前はパスワードを「本日の日付4桁です」とメールに書いて送るPPAP運用をしていました。IT企業としてどうかと思い、セキュリティ機能を充実させた経緯があります。法人ユーザーからも「ウイルスチェック機能の対象範囲を教えてほしい」といった具体的なセキュリティ要件の問い合わせが増えており、企業のファイル転送に対するセキュリティ意識は年々高まっています。
ギガファイル便の「無料で大容量」という強みはそのままに、法人利用に必要なセキュリティを備えたサービスを選ぶのが現実的な解決策です。
よくある質問
まとめ
ギガファイル便は個人利用には便利なサービスです。しかし法人が業務で使うには、ログ管理なし・暗号化の限界・プライバシーマーク未取得という3つの根本的な課題があります。
2019年の宅ふぁいる便事件以降、「無料だから仕方ない」では済まない時代になりました。情報漏洩が起きた後に「なぜ無料サービスを使っていたのか」と問われるのは、担当者自身です。
無料でもセキュリティ機能が充実したサービスは存在します。まずは試してみてください。





