最終更新: 2026年4月9日
ファイル転送の情報漏洩は、サービスの脆弱性より「使い方のミス」で起きることが多い。
宅ふぁいる便の480万件漏洩、MOVEitの2,600組織以上への被害。大きな事件はニュースになりますが、実は日常的に起きているのは「URLの誤送信」や「パスワード未設定」といったヒューマンエラーです。
この記事では、ファイル転送サービス「ギガワタス」の運営者が、情報漏洩の5つの原因と今すぐできる対策を解説します。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp)の運営ブログです。ファイル転送サービス運営者の立場から、事実に基づいて解説しています。
ファイル転送で実際に起きた情報漏洩事件
「ファイル転送サービスで情報漏洩なんて、大企業の話でしょ?」と思うかもしれません。しかし過去には、個人も含めた大規模な被害が発生しています。
| 事件名 | 時期 | 原因 | 被害規模 |
|---|---|---|---|
| 宅ふぁいる便 | 2019年1月 | 不正アクセス(パスワード平文保存) | 約480万件のユーザー情報流出。サービス終了 |
| 大阪ガス系サービス | 2019年3月 | サービスの設定ミス | 顧客情報が外部から閲覧可能な状態に |
| MOVEit Transfer | 2023年5〜6月 | ゼロデイ脆弱性(SQLインジェクション) | 世界2,600以上の組織が被害。BBC、英国航空など |
出典: オージス総研プレスリリース、日本経済新聞、IWIセキュリティブログ
宅ふぁいる便の事件は特に衝撃的でした。パスワードが平文(暗号化されていない状態)で保存されていたことが発覚し、サービスは復旧することなく2020年に終了しています。
しかし、これらは「サービス側の脆弱性」による事故です。実は、より頻繁に起きているのはユーザー側のミスによる情報漏洩です。
ファイル転送で情報漏洩が起きる5つの原因
ファイル転送サービスの運営者として、情報漏洩のリスクは大きく5つに分類できます。
| 原因 | リスク度 | よくあるケース |
|---|---|---|
| ①URLの誤送信 | 高 | ダウンロードURLを間違った相手に送る |
| ②パスワード未設定 | 高 | URLさえ知っていれば誰でもDL可能 |
| ③ログ管理ができない | 中 | 誰がDLしたか追跡できず、漏洩の発見が遅れる |
| ④暗号化されていない | 中 | サーバー上のファイルが平文保存 |
| ⑤アクセス制限がない | 中 | 社外ネットワークからもDL可能 |
順番に解説します。
原因①: ダウンロードURLの誤送信
最も多い情報漏洩の原因は、ヒューマンエラーです。
ファイル転送サービスでは、アップロード後に生成されるダウンロードURLをメールやチャットで相手に送ります。このとき、送信先を間違えるだけで情報漏洩になります。
ギガワタスのサポートにも「URLを間違えて送ってしまったが、どうすればいいか」という問い合わせが届きます。多くの無料サービスではURLの無効化ができません。誤送信に気づいても、保存期間が切れるまでファイルはダウンロード可能な状態のまま残ります。
原因②: パスワードを設定していない
ダウンロードURLにパスワードを設定していない場合、URLを知っている人なら誰でもファイルをダウンロードできます。
URLがメールの転送やチャットの共有で意図しない相手に渡るリスクは、思っている以上に高い。特にビジネスでは、メーリングリストへの誤送信やSlackチャンネルへの誤投稿は日常的に発生しています。
パスワード保護は「面倒な一手間」ではなく、誤送信時の最後の砦です。
原因③: 送信ログが残らない
無料のファイル転送サービスの多くは、送信ログを残しません。つまり「誰に」「いつ」「何を」送ったか、後から確認する手段がありません。
これが問題になるのは、情報漏洩が疑われたときです。ログがなければ原因の特定に時間がかかり、被害が拡大します。個人情報保護委員会への報告義務がある場合、ログの有無は対応スピードに直結します。
原因④: ファイルが暗号化されていない
「SSL通信だから安全」と思っている人は多いですが、SSLが守るのは通信経路だけです。
SSL(ブラウザとサーバー間の暗号化)は、データの「移動中」を保護します。しかし、サーバーに保存されたファイル自体が暗号化されていなければ、サーバーへの不正アクセスでファイルが流出します。宅ふぁいる便の事故が、まさにこのパターンです。
ファイル自体をAES-256(銀行のオンラインバンキングと同じ暗号化方式)で暗号化しているかどうかは、サービスを選ぶ重要な基準です。
原因⑤: アクセス制限がない
ダウンロードURLに対して、IPアドレス制限や回数制限が設定できないサービスでは、URLが流出した場合のリスクが格段に上がります。
特に法人利用では、「社内ネットワークからのみダウンロード可能」というIP制限は重要なセキュリティ層です。ダウンロード回数制限も同様で、1回ダウンロードしたらURLが無効になるワンタイムダウンロード機能があれば、URL流出後のリスクを大幅に減らせます。
今すぐできるファイル転送の情報漏洩対策5選
原因がわかれば、対策は明確です。以下の5つを実践するだけで、ファイル転送の情報漏洩リスクは大幅に下がります。
対策①: パスワード+ダウンロード回数制限を必ず設定する
ファイルを送るとき、パスワードとダウンロード回数制限は必ず設定してください。
パスワードはURLの誤送信対策、回数制限はURL流出対策です。この2つを組み合わせることで、「間違った相手に送った」「URLが意図せず拡散した」という2大リスクをカバーできます。

ギガワタスでは、アップロード時にパスワード保護とダウンロード回数制限を設定できます。ワンタイムダウンロードをONにすると、1回ダウンロードした時点でサーバーからファイルが自動削除されます。サーバーにデータが残らないため、セキュリティが高まります。これらは全て無料プランで利用可能です。
対策②: ファイル暗号化対応のサービスを使う
SSL通信だけでなく、ファイル自体を暗号化しているサービスを選びましょう。
プライバシーマークを取得している立場から言うと、サーバー上のファイル暗号化は最低限の要件です。ギガワタスでは500MB以内のファイルをAES-256(256ビット鍵長の暗号化方式)で暗号化しています。万が一サーバーに不正アクセスがあっても、暗号化されたファイルは解読できません。

アップロード完了画面で「AES-256暗号化 保護済み」と表示されます。暗号化が適用されたことを目で確認できます。
対策③: 送信ログを残せるサービスを使う
「誰に」「いつ」「何を」送ったかを後から確認できることは、セキュリティの基本です。

ギガワタスの無料会員登録をすると、マイページで送信履歴を管理できます。ファイル名、容量、保存期限、ダウンロード回数が一覧で確認可能。情報漏洩が疑われたとき、すぐに状況を把握できます。
対策④: 社内のファイル転送ルールを決める
技術的な対策と同じくらい重要なのが、運用ルールです。
最低限、以下の3つを社内ルールとして決めてください。
- 使うサービスを統一する — 社員ごとに違うサービスを使うと管理できない
- パスワード設定を必須にする — 個人の判断に任せない
- 機密度に応じた送信方法を決める — 社内資料は無料プラン可、契約書はセキュリティ機能付きのサービス必須、など
完璧なルールを作る必要はありません。まずこの3つだけ決めるだけで、ヒューマンエラーによる漏洩リスクは大幅に減ります。
対策⑤: セキュリティ認証を取得しているサービスを選ぶ
ファイル転送サービスを選ぶとき、プライバシーマークやISO 27001(ISMS)を取得しているかは重要な判断基準です。
これらの認証は「個人情報やセキュリティの管理体制が第三者に審査されている」ことを意味します。認証を取得していないサービスが危険というわけではありませんが、企業として責任あるファイル転送を行うなら、認証の有無は確認すべきポイントです。
ギガワタスの運営会社(株式会社グッドヒルシステムズ)はプライバシーマークを取得しています。
無料と有料ファイル転送サービスのセキュリティ比較
「無料サービスは危険」と一概には言えません。ただし、セキュリティ機能には明確な差があります。ここでは知名度の高いギガファイル便と比較します。
| セキュリティ機能 | ギガファイル便 | ギガワタス(無料) | ギガワタス(プレミアム 月550円) |
|---|---|---|---|
| SSL通信 | ○ 対応 | ○ 対応 | ○ 対応 |
| AES-256ファイル暗号化 | ✕ 非対応 | ○ 対応(500MB以内) | ○ 対応(500MB以内) |
| パスワード保護 | ○ 対応(4桁数字) | ○ 対応 | ○ 対応 |
| ダウンロード回数制限 | ✕ 非対応 | ○ 対応 | ○ 対応 |
| ウイルススキャン | ○ 対応 | ✕ 非対応 | ○ 対応 |
| IPアドレス制限 | ✕ 非対応 | ✕ 非対応 | ○ 対応 |
| 送信ログ管理 | ✕ 非対応 | ○ 会員登録で対応 | ○ 対応 |
| プライバシーマーク | ✕ 未取得 | ○ 取得済み | ○ 取得済み |
2026年4月時点の情報です。
ギガファイル便はウイルスチェックに対応しており、無料サービスとしては機能が充実しています。一方、ファイル自体の暗号化(AES-256)やダウンロード回数制限、送信ログ管理には対応していません。詳しい比較は「ギガファイル便は危険?セキュリティの実態」で解説しています。
正直に言うと、ギガワタスの無料プランでもウイルススキャンとIPアドレス制限は使えません。これらが必要な場合は月550円のプレミアムプランが必要です。
ただし、AES-256暗号化・パスワード保護・ダウンロード回数制限は無料プランでも使えます。「まずは無料で、セキュリティの高いファイル転送を試したい」という方には十分な機能です。
主要なファイル転送サービスの詳細比較は「無料大容量ファイル転送サービス15社比較」で解説しています。
ファイル転送の情報漏洩に関するよくある質問
Q. 無料のファイル転送サービスは危険ですか?
「無料だから危険」とは言い切れません。重要なのは、そのサービスに暗号化・パスワード保護・ログ管理といったセキュリティ機能があるかどうかです。友人への動画送信なら無料サービスで問題ありません。ビジネスの機密ファイルなら、セキュリティ機能の充実したサービスを選んでください。詳しくは「ギガファイル便は危険?セキュリティの実態」で解説しています。
Q. パスワード付きZipファイルなら安全ですか?
いいえ。パスワード付きZipファイルをメールで送る方法(PPAP)は、2020年11月に平井卓也デジタル改革担当大臣(当時)が廃止を宣言しています。パスワードを同じメール経路で送る限り、傍受リスクは変わりません。代替手段については「脱PPAPの進め方|今日から始める具体的な5ステップ」をご覧ください。
Q. 情報漏洩が起きたら賠償額はいくらですか?
JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)の調査によると、情報漏洩時の1人あたりの損害賠償額は数千円〜数万円。大規模漏洩では数億円に達します。2022年の個人情報保護法改正で、法人への罰金は最大1億円に引き上げられました。
Q. 会社でファイル転送のルールを決めるには?
まず「使うサービスの統一」「パスワード設定の必須化」「機密度別の送信方法」の3つだけ決めてください。完璧なルールは不要です。この3つだけでヒューマンエラーのリスクは大幅に下がります。
まとめ: ファイル転送の情報漏洩は「仕組み」で防ぐ
ファイル転送の情報漏洩は、高度なサイバー攻撃より「URLの誤送信」「パスワード未設定」といった日常のミスで起きることが多い。だからこそ、個人の注意力に頼るのではなく、仕組みで防ぐことが大切です。
今すぐできることをまとめます。
- パスワード+ダウンロード回数制限を必ず設定する
- AES-256暗号化対応のサービスを使う
- 送信ログを残せるサービスを使う
- 社内ルール(使うサービス・パスワード必須・機密度別送信)を決める
- Pマーク・ISO取得のサービスを選ぶ
ギガワタスは、無料プランでもAES-256暗号化・パスワード保護・ダウンロード回数制限に対応しています。登録不要で今すぐ使えるので、まずは試してみてください。





