最終更新日: 2026年5月10日
建設業のファイル転送に必要なのは、大容量とセキュリティの両立です。CAD図面はBIM普及で数GB級になり、設計図と現場写真は流出させてはいけない情報です。ヒューマンエラーによる漏洩事故が業界課題になっています。
この記事では、ファイル転送サービスの運営者として、建設業の業務フローに沿った選び方を解説します。施主⇔元請⇔下請⇔現場の4階層で、CAD・現場写真・協力会社共有のシーン別に使い分けを整理します。日建連の情報セキュリティ脅威や実際の漏洩事例も踏まえます。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp)の運営ブログです。自社サービスを含めて事実に基づいて解説しています。
建設業がファイル転送で困る3つの理由
建設業のファイルやり取りは、一般的なオフィスワークと前提が違います。社内だけで完結せず、施主・元請・下請・現場という4者間でデータが行き来します。

理由1: CAD図面・BIMデータの大容量化
3次元CAD・BIM(Building Information Modeling)の普及で、図面ファイルが大容量化しています。Revit・ArchiCAD・GLOOBE・AutoCADの実プロジェクトファイルは数百MBが標準です。規模次第で1モデルあたり1GB〜数GBに達することも珍しくありません。
外部参照ファイル(点群データ、テクスチャ、構造解析結果)も忘れてはいけません。これらを含めると、1案件で数十GBの転送が日常的に発生します。メール添付の25MB上限では到底送れません。
理由2: 現場写真の大量送信
施工管理アプリやスマホで撮影される現場写真は、1案件で数千枚に及びます。1枚3〜10MBのRAWや高解像度JPEGをまとめて送ると、すぐに数GB〜数十GBのデータになります。安全パトロール・進捗報告・是正対応など、用途も多岐にわたります。
現場写真には、作業員の顔・車両ナンバー・近隣家屋など個人情報が写り込むことが避けられません。ぼかし処理が間に合わないまま転送される実態があり、日本建設業連合会も注意喚起の動画を作成しています。
理由3: 社外関係者が多くセキュリティギャップが生じる
1案件で関わる会社が10社を超えることも珍しくありません。元請のセキュリティポリシーは厳格でも、協力会社の中にはメール添付やUSBメモリ手渡しが残っているケースが多くあります。一番セキュリティが弱い会社のレベルに全体が引き下げられます。
2020年秋には鉄建建設がランサムウェア攻撃を受け、保有サーバーの約95%が被害を受けた事例もあります。原因は取引先を装ったメール添付ファイルの開封でした。情報漏洩の経路と対策については「ファイル転送で情報漏洩が起きる5つの原因と防ぎ方」も参照してください。
建設業のファイル転送に必要な4つの要件
運営者として法人ユーザーから問い合わせを受ける中で、建設業に共通して必要な要件は4つに整理できます。
| 要件 | 理由 | 必要な機能 |
|---|---|---|
| 大容量対応 | CAD・BIM・点群・現場写真は数GB〜数十GB | 1ファイル数十GB以上の転送容量 |
| 強固な暗号化 | 設計図・図面は競合に流出させてはいけない知財 | AES-256(保存時)+ SSL/TLS(通信時) |
| 送信履歴・ダウンロード履歴 | 誰がいつ受け取ったかを後から追跡できる必要がある | DL通知・履歴・期限延長の管理画面 |
| アクセス制御 | 協力会社のオフィス以外からはダウンロードさせない運用が必要な案件もある | パスワード・DL回数制限・IPアドレス制限 |
この4要件を満たさないサービスを業務で使うと、誤送信1件で案件を失う可能性があります。「容量が大きい」だけでなく、追跡可能性とアクセス制御が揃っていることが法人利用の条件です。
建設業向けファイル転送サービス比較|運営者推奨の5サービス
建設業の業務に耐える主要サービスを、本ブログ共通の5項目×20点=100点満点で評価しました。すべての比較記事で同一基準を使っています。採点項目と配点は次のとおりです。
| 項目 | 配点 | 採点の観点(建設業向けに重みづけ) |
|---|---|---|
| ① セキュリティ | 20点 | AES-256・SSL・Pマーク・IP制限・パスワード保護の有無 |
| ② 無料プランの充実度 | 20点 | 無料の最大容量。CAD・BIMの実サイズ感(数GB〜数十GB)に耐えるか |
| ③ 使いやすさ | 20点 | 登録の手軽さ、UI、広告の少なさ、現場・取引先の負担 |
| ④ 法人向け機能 | 20点 | 受取フォルダ・DL履歴・期限延長・管理画面の有無 |
| ⑤ コストパフォーマンス | 20点 | 機能あたりの価格。無料/有料の差、法人プランのコスパ |
この基準で5サービスを評価した結果が以下です。
| サービス | 無料の最大容量 | 暗号化 | 法人向け機能 | 総合スコア |
|---|---|---|---|---|
| ギガワタス | 333GB | AES-256+SSL | IP制限・受取フォルダ・DL履歴・Pマーク取得 | 92/100 |
| ギガファイル便 | 300GB | SSL/TLSのみ | ログ管理なし・Pマークなし | 62/100 |
| firestorage | 2GiB(無料会員) | SSL+独自暗号化 | Pマーク取得・有料で容量拡張 | 72/100 |
| データ便 | 5GB(フリー) | SSL | セキュリティ便(受取申請制)・データPro | 70/100 |
| Box(参考) | 10GB(個人無料) | AES-256 | 監査証跡・権限管理・ISMS等多数取得 | 78/100 |
各サービスの採点内訳は次のとおりです。点数の根拠を透明化することで、自社の業務に合うかを判断できます。
| サービス | ① セキュリティ | ② 無料容量 | ③ 使いやすさ | ④ 法人機能 | ⑤ コスパ |
|---|---|---|---|---|---|
| ギガワタス | 20 | 20 | 16 | 18 | 18 |
| ギガファイル便 | 10 | 20 | 10 | 4 | 18 |
| firestorage | 14 | 14 | 14 | 14 | 16 |
| データ便 | 14 | 10 | 14 | 16 | 16 |
| Box(参考) | 20 | 10 | 14 | 20 | 14 |
建設業の視点で読み解くと、無料の大容量と暗号化の両立が肝心です。ギガファイル便は無料容量で満点ですが、AES-256とログ管理がないためセキュリティと法人機能で大きく失点しています。Boxは法人機能で満点ですが、無料10GBではCADモデルが入りきりません。ギガワタスは大容量とセキュリティを両立した結果、92点で1位となりました。
迷ったらこう選ぶ(建設業向け)
- 無料・大容量で済ませたい(社外秘でないファイル)→ ギガファイル便
- 図面・個人情報を含む現場写真を扱う→ ギガワタス(無料・AES-256・Pマーク)
- 大企業の規程に合わせて法人契約必須→ Box(監査証跡が要件のとき)
無料で大容量のCAD・現場写真を扱えて、なおかつ暗号化と法人向け機能が揃うのは現状ギガワタスとギガファイル便の2択です。知名度ではギガファイル便が圧倒的に上で、無料利用なら今でも有力な選択肢です。一方で、設計図など漏らせない情報を扱うなら、AES-256暗号化とプライバシーマーク取得済みのギガワタスを推奨します。
「広告だらけの画面を取引先に見せたくない」という理由でギガワタスに切り替えた事例があります。「広告とDLボタンの区別がつきにくい」という乗り換え理由も実際に聞きます。受け取る側の画面の印象も、法人取引では無視できません。
各サービスの料金・機能の最新情報は別記事に整理しています。「無料大容量ファイル転送サービス15社比較」「セキュアファイル転送サービス5選」も参照してください。
シーン別の使い分け|CAD図面・現場写真・協力会社共有
同じ建設業でも、送るデータと相手によって最適な方法は変わります。実務でよくある3シーンを整理します。
| シーン | 推奨方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 設計事務所→施主にCAD図面提出 | AES-256対応のファイル転送サービス+ DL回数1回 | 知財として保護が必要。受取側に登録を求めない |
| 元請→下請に施工計画書・図面配布 | 受取フォルダ+IP制限 | 協力会社のオフィスIPに限定し、複数社の納品を一元管理 |
| 現場→本社に現場写真送信 | スマホ対応のファイル転送サービス | 現場のWi-Fi・LTE環境で完結。アプリ不要が望ましい |
| 設計→構造・設備事務所に共有 | クラウドストレージの共有リンク | 同じファイルを継続的に編集する場合は転送よりストレージが向く |
CAD図面を送るときの注意点
CADデータは外部参照(Xref)や添付画像が一緒でないと開けないことが多くあります。ZIPでまとめてから送るのが基本です。Revitなら「eTransmit」、AutoCADなら「ETRANSMIT」コマンドで関連ファイル一式を出力してから転送します。
ファイル転送サービスはそのままZIPやBIMファイルを通すだけです。圧縮率は事前にローカルで確認し、333GB(ギガワタス)の上限内に収まるかを確認しておきます。
現場写真を送るときの注意点
現場写真は送信前にぼかし処理を済ませることが原則です。作業員の顔、ナンバープレート、近隣の家屋・表札が写り込んでいないかを確認します。スマホアプリ側でぼかしてからアップロードする運用が現実的です。
大量の写真をまとめて送る方法は「大量の写真を送る方法7選」を参照してください。スマホからの送信手順は「ギガファイル便をスマホで使う方法」に整理しています。
協力会社からの納品を受け取るときの注意点
下請・協力会社が複数いる場合、各社にURLを配ってアップロードしてもらう「受取フォルダ」が便利です。受取側が会員登録不要で、こちらが指定したURLにファイルを置くだけでアップロードが完了します。納品ファイルが1つの管理画面に集約されるため、抜け漏れが起きにくくなります。
建設業の情報漏洩リスクと防ぎ方
建設業界の情報セキュリティ脅威は、外部からの攻撃よりもヒューマンエラー(誤送信・紛失・置き忘れ)が上位を占めます。日建連が公表した「建設業界の情報セキュリティ5大脅威」でも、情報の持ち出し・誤操作が高位にランクされています。

1. メール誤送信
「社外秘の図面を社員にメールで送るつもりが、宛先間違いで取引先以外に送ってしまった」という事例が頻発しています。送信後に取り消す手段がないのがメール添付の致命的な弱点です。
ファイル転送サービスを使えば、誤送信に気付いた段階でURLを無効化できます。ダウンロード回数を1回に設定しておけば、本来の受取人がDL前なら影響を最小化できます。
2. USBメモリ・ノートPCの紛失
移動の多い建設業では、ノートPCやUSBメモリの置き忘れ・紛失が後を絶ちません。暗号化されていない物理メディアは、拾った人が中身を見られてしまいます。
クラウドのファイル転送サービスを基本にし、物理メディアの持ち出しは原則禁止にする運用が安全です。
3. 私用クラウドの業務利用(シャドーIT)
個人のGoogle DriveやLINEで業務ファイルをやり取りするケースもよくあります。会社の管理が及ばないため、退職時にデータを持ち出されても気付けません。会社として使うサービスを統一し、ログが残る環境を用意することが重要です。
4. フィッシング・標的型メール
取引先を装った偽メールに添付されたマルウェアを開封してしまうと、サーバー全体が暗号化される被害につながります。鉄建建設の事例はこのパターンです。
ファイル転送サービスのURL通知メールは、添付ファイルがなくURLだけのため、添付ファイル経由の攻撃を減らせます。とはいえURL自体のフィッシング対策(URLが正規のドメインか確認する習慣)は別途必要です。
ギガワタスが建設業に向く3つの理由
本ブログの運営元として、自社サービスの強みと弱みを正直にまとめます。
1. 333GBの大容量とAES-256暗号化
BIMモデル+現場写真をまとめて送れる333GBの転送容量を、登録不要の状態で利用できます。AES-256はオンラインバンキングと同じ暗号化方式で、保存時にも適用されます。
暗号化方式の違いは「ファイル転送の暗号化とは?SSL・AES-256の違いを解説」で詳しく解説しています。
2. プライバシーマーク取得+IPアドレス制限
運営会社の株式会社グッドヒルシステムズはプライバシーマーク取得企業です。個人情報を含む現場写真を扱う際の説明責任が果たしやすいのが法人利用の利点です。
IPアドレス制限機能を使えば、特定オフィスのIPからしかダウンロードできない運用も可能です。協力会社のオフィスIPだけ許可すれば、自宅PCや私用ネットワークからのアクセスを遮断できます。

3. 受取フォルダで協力会社からの納品を一元管理
受取フォルダ機能を使うと、各協力会社にアップロード用URLを発行できます。下請各社のファイルが1つの管理画面に集約され、抜け漏れの確認が容易です。各社にメールでURLを配るだけなので、相手側の登録は不要です。
正直に書く:ギガワタスのデメリット
知名度ではギガファイル便に大きく劣ります。「URLが届いて知らないサービスだと開いてもらえないのでは」と心配される取引先もあります。受信側にメールで一言「AES-256対応のファイル転送サービスを使います」と伝える運用がおすすめです。また、無料プランは広告表示があります(取引先のDL画面の広告は最小限です)。
よくある質問
Q. CAD図面(DWG・RVT・IFC)はファイル転送サービスでそのまま送れますか?
ファイル形式に関係なくそのまま送れます。CADは外部参照ファイルを含めて送る必要があります。Revitなら「eTransmit」、AutoCADなら「ETRANSMIT」で関連ファイルをまとめてからZIP圧縮するのが一般的です。ギガワタスは1ファイル333GBまで対応しています。
Q. 海外の協力会社・設計事務所とのやり取りでも使えますか?
URLを開けば世界中のどこからでもダウンロードできます。ただし、海外からのアクセスを制限したい場合はIPアドレス制限機能で日本のIP範囲だけに限定する運用が可能です。サーバー所在地は日本のため、レイテンシは海外サービスより安定します。
Q. 現場のWi-Fiやモバイル回線でも安定して送れますか?
回線速度に依存します。ギガワタスは中断時のレジューム機能があり、不安定な回線でも再開しやすい設計です。とはいえ大容量ファイルは現場で直接送るより、本社・事務所の安定回線で送ることを推奨します。スマホからの送信方法は「ギガファイル便をスマホで使う方法」も参考にしてください。
Q. 元請から「セキュリティ要件があるサービスを使え」と指示されました。どう確認すればいいですか?
最低限の3点を確認してください。①AES-256などの保存時暗号化に対応、②プライバシーマークまたはISMSを取得、③アクセスログが残る。ギガワタスはこの3点をすべて備えています。元請の調達部門に提出する資料として「セキュアファイル転送サービス5選」も参考になります。
Q. ギガファイル便を使い続けても問題ありませんか?
無料・知名度・容量の3点では今でも有力な選択肢です。ただし保存時のAES-256暗号化やプライバシーマーク、IP制限は提供されていません。設計図や個人情報を含む現場写真の送信には不向きで、業務用途では別サービスとの併用を推奨します。詳しくは「ギガファイル便は危険?セキュリティの実態と安全な使い方」をご覧ください。
まとめ
建設業のファイル転送は、CAD図面・現場写真・協力会社共有という3つの異なるシーンに対応する必要があります。
- BIM普及で図面は数GB〜数十GBに大容量化。メール添付では送れない
- ヒューマンエラー(誤送信・紛失)が漏洩主因。送信後に無効化できる仕組みが必須
- 協力会社が多い案件は受取フォルダで一元管理が効率的
- 知財・個人情報を扱うならAES-256暗号化+プライバシーマーク取得が選定基準
- 無料・知名度のギガファイル便、セキュリティのギガワタスを使い分ける現場が増えている
ギガワタスは登録不要で333GBまで送れます。無料会員登録すればAES-256暗号化・IPアドレス制限・受取フォルダ・DL履歴などの法人向け機能が無料で使えます。プライバシーマーク取得済みのため、元請への説明責任も果たしやすいサービスです。





