最終更新日: 2026年5月4日
取引先とのファイル共有は、メール添付ではなくファイル転送サービスかクラウドストレージを使うのが基本です。方法は5つありますが、最も大切なのは「受け取る側(取引先)に負担をかけない」こと。
この記事では、ファイル転送サービスの運営者として5つの方法を比較します。メリット・デメリットだけでなく、受け取る側の視点も含めて解説します。アカウント作成が必要か、広告が出るか、日本語で使えるか。送る側の都合だけでなく、取引先の立場で選びましょう。
この記事はギガワタス(giga-watasu.jp)の運営ブログです。自社サービスを含めて、事実に基づいて解説しています。
取引先とのファイル共有でやってはいけないこと
「今まで大丈夫だったから」と続けている方法が、実は大きなリスクを抱えていることがあります。まず、避けるべき3つの方法を確認しましょう。
メール添付(容量制限+セキュリティリスク)
ほとんどのメールサーバーには添付ファイルの上限があります。Gmailは25MB、Outlookは20MBが上限です。数枚の写真や短い動画でもすぐに超えます。
セキュリティ面でも問題があります。送信側・受信側の両方がTLS暗号化に対応していなければ平文で送られます。相手のサーバー設定を確認している人はまずいません。宛先を間違えても取り消せないのも致命的です。
メール添付の容量制限について詳しくは「メール添付ファイルの容量制限一覧|Gmail・Outlookなど主要サービスを比較」で解説しています。
PPAP(パスワード付きZIP+パスワード別送)
パスワード付きZIPをメールで送り、パスワードを別のメールで送る方式です。同じメール経路を使う以上、盗聴されるリスクは同じです。2020年に内閣府が廃止を宣言し、多くの企業が代替手段に切り替えています。
当社でも以前はPPAPを使っていました。パスワードは「本日の日付4桁です」とメールに書いて送る運用。セキュリティ的には完全に無意味でした。詳しくは「脱PPAPの進め方|今日から始める具体的な5ステップ」をご覧ください。
USBメモリの手渡し
物理メディアの手渡しは一見安全そうですが、紛失・盗難・ウイルス感染のリスクがあります。USBメモリを拾った人がPCに差し込めば、データは丸見えです。暗号化していないUSBメモリを使うのは、鍵のないカバンで書類を渡すのと同じです。
テレワークが普及した現在、物理メディアの手渡しは現実的でもありません。
取引先とファイルを共有する5つの方法を比較
メール添付やPPAPの代わりに使える方法を5つ紹介します。どれを選ぶかは「取引先に何を求めるか」で決まります。まずはフローチャートで確認しましょう。
| 方法 | 最大容量 | セキュリティ | 受取側の負担 | コスト |
|---|---|---|---|---|
| ファイル転送サービス | 333GB(ギガワタス) | AES-256暗号化対応あり | 低い(URLクリックのみ) | 無料〜 |
| クラウドストレージ共有 | 15GB(Google Drive無料) | アクセス権限制御可能 | 中(アカウントが必要な場合あり) | 無料〜 |
| ビジネスチャット | 1GB(Slack無料) | チャット経路の暗号化のみ | 中(同じチャットツール必須) | 無料〜 |
| VPN / 専用線 | 制限なし | 通信経路を完全暗号化 | 高い(VPN接続が必要) | 月額数千円〜 |
| 法人向けファイル共有ツール | 製品による | 監査証跡・権限管理あり | 中〜高(導入・教育が必要) | 月額数万円〜 |
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
方法1: ファイル転送サービス(最もバランスがよい)
ファイルをアップロードしてURLを取引先に送る方法です。受け取る側はURLをクリックしてダウンロードするだけ。アカウント作成も、ソフトのインストールも不要です。
メリット:
- 受取側にアカウント登録やソフトの導入を求めない
- 大容量ファイルに対応(ギガワタスなら333GBまで)
- パスワード保護・ダウンロード回数制限で安全性を確保できる
- URLを無効化すれば、送信後でもアクセスを遮断できる
注意点:
- サービスによってセキュリティレベルが大きく異なる
- 無料サービスは広告が多い場合がある(取引先に送ると印象が悪い)
- 保存期間がある(期限切れでダウンロードできなくなる)
ファイル転送サービスの選び方については「法人向けファイル転送サービスの選び方」で詳しく解説しています。
方法2: クラウドストレージの共有リンク
Google Drive・OneDrive・Dropboxなどにファイルを置き、共有リンクを発行する方法です。すでにクラウドストレージを導入している企業にとっては手軽です。
メリット:
- 既存のクラウドストレージをそのまま使える
- 「特定のユーザーのみ」にアクセス権を設定できる
- ファイルの編集権限も細かく制御できる
注意点:
- 「特定のユーザー」に限定すると、取引先にもGoogleアカウント等が必要
- 「リンクを知っている全員」にすると、URLが漏れれば誰でもアクセスできる
- 無料プランは容量が限られる(Google Drive 15GB、Dropbox 2GB)
社内での共有には向いていますが、社外の取引先にアカウント作成を求めるのは現実的ではない場合が多いです。取引先がアカウントを持っていなければ、結局ファイル転送サービスの方が確実です。
方法3: ビジネスチャット(Slack・Teams等)
SlackやMicrosoft Teamsなどで取引先とチャンネルを共有し、ファイルを送る方法です。すでにチャットで日常的にやり取りしている相手なら手軽です。
メリット:
- 普段のコミュニケーションの延長で送れる
- やり取りの履歴が残る
注意点:
- 取引先が同じチャットツールを使っている必要がある
- 無料プランではファイルサイズに制限がある(Slack無料は1GB)
- ファイル単体の暗号化やダウンロード制限はできない
- 機密性の高いファイルには不向き
日常的なやり取りには便利ですが、機密ファイルや大容量ファイルの送信には別の方法を使いましょう。
方法4: VPN / 専用線
取引先とVPNで接続し、共有フォルダを介してファイルを共有する方法です。通信経路が完全に暗号化されるため、セキュリティは最も高いです。
メリット:
- 通信経路が完全に暗号化される
- 社内ネットワーク外からはアクセスできない
- アクセスログを詳細に記録できる
注意点:
- 取引先にもVPNソフトの導入と設定が必要
- 導入・運用コストが高い(月額数千円〜数万円)
- IT部門の管理が前提。中小企業にはハードルが高い
- 接続トラブル時にファイルのやり取りが止まる
大企業同士の継続的な取引には適していますが、取引先が複数ある中小企業にはオーバースペックです。
方法5: 法人向けファイル共有ツール
セキュアSAMBA、DirectCloud、Boxなどの法人向けサービスです。監査証跡・権限管理・Active Directory連携など、企業のセキュリティポリシーに対応する機能が豊富です。
メリット:
- 監査証跡・アクセスログが充実
- 社内のセキュリティポリシーに準拠しやすい
- 大規模組織での運用に適している
注意点:
- 月額費用が高い(数万円〜数十万円)
- 導入に時間がかかる(社内稟議・設定・教育)
- 取引先にも利用方法を説明する必要がある
IT部門がある大企業・官公庁に適した方法です。中小企業が「取引先にファイルを送りたいだけ」なら、方法1のファイル転送サービスで十分です。
「受け取る側」で選ぶ — 取引先に負担をかけない方法とは
ファイル共有の方法を選ぶとき、送る側の都合だけで選んでいませんか?取引先がどんな画面を見るかを考えることが重要です。
取引先に求めることの比較
| 方法 | アカウント作成 | ソフト導入 | 広告表示 |
|---|---|---|---|
| ファイル転送サービス | 不要(受取側は登録なし) | 不要 | サービスによる |
| クラウドストレージ | 設定による(限定共有なら必要) | 不要 | なし |
| ビジネスチャット | 必要 | 必要(アプリ) | なし |
| VPN | 必要 | 必要(VPNクライアント) | なし |
取引先に最も負担が少ないのはファイル転送サービスです。受け取る側はURLをクリックしてダウンロードするだけ。アカウント作成もソフトの導入も不要です。
広告が多いサービスで取引先に送ると印象が悪い
無料のファイル転送サービスには、ダウンロード画面に大量の広告が表示されるものがあります。取引先がファイルをダウンロードしようとして、広告だらけの画面を見たらどう思うでしょうか。
実際に、フォトグラファーのユーザーから「クライアントに作品データを送る際、広告だらけの画面を見せたくない」という理由でギガワタスに切り替えた事例があります。送る側だけでなく、受け取る側の画面まで意識することが大切です。
下の画像は、ギガワタスでファイルを送った場合に取引先が見るダウンロード画面です。広告は最小限で、ファイル情報とダウンロードボタンだけのシンプルなUIです。
ギガワタスの受取画面。広告は最小限で取引先にも安心して送れる
取引先にファイルを安全に送る5ステップ
ファイル転送サービスを使う場合の具体的な手順です。初めてでも5分で完了します。
- ファイル転送サービスにアクセスする — AES-256暗号化に対応したサービスを選ぶ
- ファイルをアップロードする — ドラッグ&ドロップで完了。333GBまで対応(ギガワタスの場合)
- パスワードを設定する — 設定しないと誰でもDLできる。必ず設定すること
- 生成されたURLを取引先にメールで送る — URLだけをメール本文に記載する
- パスワードはメール以外で伝える — 電話・チャット・SMSなど別経路で。同じメールで送るとPPAPと同じ問題が起きる
ポイント: URLとパスワードを別経路にすること。これだけで安全性が大幅に上がります。ダウンロード回数制限を「1回」にすれば、受取者以外はDLできません。
法人がファイル共有で確認すべきセキュリティ4項目
取引先にファイルを送るとき、「送れればいい」だけでは不十分です。プライバシーマーク取得企業の運営者として、法人が確認すべき4つのセキュリティ項目を解説します。
1. 暗号化方式
ファイルが転送中・保存中に暗号化されているかを確認しましょう。AES-256は銀行のオンラインバンキングと同じ暗号化方式で、現実的に突破が極めて困難です。SSL/TLS(通信の暗号化)だけではファイル自体は暗号化されません。
暗号化の仕組みについて詳しくは「ファイル転送の暗号化とは?SSL・AES-256の違いを解説」で解説しています。
2. ウイルススキャン
取引先から受け取るファイルにウイルスが含まれている可能性もあります。ウイルススキャン機能があるサービスなら、アップロード時に自動チェックされます。
法人ユーザーからは「何をチェックして何をチェックしないのか」という問い合わせが多いです。スキャン対象のファイルサイズや種類はサービスごとに異なります。事前に確認しておきましょう。
3. アクセス制限
IPアドレス制限があれば、特定の場所(オフィス等)からしかダウンロードできないように設定できます。パスワード保護やダウンロード回数制限と組み合わせることで、不正アクセスのリスクを大幅に減らせます。
ギガワタスのIP制限設定画面。取引先のオフィスIPだけに限定できる
4. ログ管理
「いつ、誰が、何をダウンロードしたか」の記録が残るかを確認しましょう。万が一の情報漏洩時に経緯を追跡するために必須です。無料サービスの多くはログ機能がありません。
ファイル転送における情報漏洩リスクについては「ファイル転送で情報漏洩が起きる5つの原因と防ぎ方」で詳しく解説しています。
【用途別】おすすめのファイル共有方法
「結局、自分の会社にはどの方法が合うのか?」を判断するための早見表です。
| こんな会社・場面 | おすすめ方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 取引先が多い中小企業 | ファイル転送サービス | 相手にアカウント作成を求めなくてよい。無料で始められる |
| 社内でGoogle Workspaceを使っている | Google Drive + ファイル転送サービス | 社内はDrive、社外は転送サービスと使い分ける |
| 動画・デザインデータを送る | 大容量対応のファイル転送サービス | 数GB〜数十GBに対応。クラウドストレージの容量では足りない |
| 大企業・官公庁 | 法人向けファイル共有ツール or VPN | 監査証跡・権限管理が必要。IT部門の管理体制がある |
多くの中小企業にとって、ファイル転送サービスが最もバランスのよい選択肢です。取引先に負担をかけず、無料から始められて、セキュリティ機能も充実しています。
ファイル転送サービスを選ぶ際は、暗号化方式・容量・広告の有無を比較しましょう。主要サービスの比較は「無料大容量ファイル転送サービス15社比較」にまとめています。
よくある質問
まとめ
取引先とのファイル共有で最も大切なのは、「受け取る側に負担をかけない」ことです。
- メール添付・PPAP・USBは避ける
- 方法は5つあるが、中小企業にはファイル転送サービスが最もバランスがよい
- 受取側にアカウント作成やソフトの導入を求めないのが理想
- 広告の多いサービスは取引先への印象が悪い
- 暗号化・ウイルススキャン・アクセス制限・ログ管理を確認する
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